西日本一帯で1968年に起きた食品公害「カネミ油症」の被害者支援団体などが3日、厚生労働省を訪れ、患者と同様の症状を訴える子や孫世代への救済拡大を要望した。
要望に訪れた「カネミ油症被害者支援センター」などによると、認定被害者の子や孫の多くは、症状があってもダイオキシン類の血中濃度が基準に満たないことなどを理由に被害者救済法の対象とならず、医療費の補償を受けられない。
同センターは今年、子や孫世代にアンケートを実施。兵庫県在住者を含む49人分の回答を得た。カネミ油症は皮膚疾患や全身倦怠(けんたい)感など複数の症状が出る特徴があり、子や孫も、さまざまな健康被害の自覚症状が高い割合で発生し、症状の多くが認定被害者と重なることが分かったという。
この日は、同センターの代表者ら6人が、山本博司厚労副大臣と面会。「次世代被害者」の幅広い救済や、国による健康実態調査を求める要望書を手渡した。
油症被害者関西連絡会共同代表を務める渡部道子さん(64)=同県姫路市=は、30代の長男が肺など呼吸器が弱く、感染症などが重症化しやすいという。「健康に産んであげられたなら違う人生もあったのではないかと、申し訳ない思いをずっと抱えてきた。子どもや孫の世代のために、いま声を上げなければ」と話した。(永見将人、小尾絵生)