新型コロナウイルス感染対応で、都道府県によって人口10万人当たりの病床数に最大5倍以上の差があることが、神戸新聞社の調べで分かった。最多は鳥取県の10万人当たり56・3床で、最少は福岡県の10・8床。病床使用率が全国で最も高い兵庫県は、ワースト3位の12・3床で、全国的に見ても病床数が十分ではない現状が明らかになった。
都道府県の人口は総務省による昨年10月時点の推計、病床数は厚生労働省の今月4日発表分に基づく。
上位5県は鳥取、富山、和歌山、島根、山梨。いずれも10万人当たり35床以上で、ほぼ人口100万人規模以内だった。500万人以上の9都道府県の中では、北海道の34・5床が7位で最高。東京は28・7床で16位、大阪は16・3床で39位だった。
このうち重症者向け病床では、人口10万人当たりの最多は山口の10・1床、最少は愛知の0・9床で、両県で10倍もの差があった。
兵庫は40位の2・0床で、医療崩壊の危機に直面しているとされる大阪は、兵庫の倍以上の4・2床で8位だった。東京も3・6床で13位に入る。
トップの山口は、6病院で計137床を確保する。同県の担当者は「都市が地域的に分散しており、4ブロックに中核的医療機関があるため対応ができる」と説明。重症者は2日時点で3人にとどまっているが、「感染拡大時は県看護協会から看護師を派遣する態勢をとっており、重症者や重症化リスクのある人への対応を重視している」としている。
厚労省が毎週金曜日に発表する都道府県別の病床使用率(2日時点)では、兵庫は3週連続ワーストの65%、2位の大阪は56%。18都道府県が25%以上になっている。人口当たりの病床数が最少の福岡は、患者数が兵庫の半数以下にとどまっており、同使用率は20位だった。
重症者病床の使用率は、大阪がワーストの57%で唯一5割を超え、東京(49%)、沖縄(49%)、愛知(43%)、兵庫(31%)-と切迫した状況が続く。
兵庫県は12月中旬以降に全体の病床数を671床から750床に増やし、重症者病床も110床からできるだけ増やす方針を示している。
県医務課の担当者は「新型コロナ向けの病床は、通常より手厚い看護や人員が必要なため、コロナを優先すると通常の診療体制を圧迫してしまう。兵庫県は第1波の経験を踏まえ、通常診療を守りながら現実的に可能な病床数を示している」としている。(井川朋宏)