コロナ禍の中での初詣に向け、各地と同様、兵庫県内の神社も感染防止策を強化している。兵庫県神社庁(神戸市中央区)は管内にある約3800の神社に対し、マスク着用の徹底や、期間延長による「分散参拝」などを提案。「密」の防止などに知恵を絞るが、来年の人出は予想がつきにくく、誘導のための人員確保に頭を悩ませる神社もある。(末永陽子)
神社本庁(東京)は10月、神社での感染防止対策のガイドラインを策定。これを受け、県内でも既に複数の神社が、さい銭箱上の鈴を鳴らす「鈴緒」やちょうず舎のひしゃくを撤去するなどの対策を始めている。
湊川神社(神戸市中央区)は新年の神事「玉串奉納」「神酒拝戴」を中止した。初詣の期間は1月末まで延長し、分散参拝を呼び掛ける。混雑時は入場を制限する方針で、担当者は「安全に参拝してもらえるよう理解を求めたい」とする。
長田神社(同市長田区)の担当者は「参拝客の誘導などにも人手が必要」とするが、どれほど人出があるのか予想がつかず困り顔。それでも「新年の健康などを祈る初詣でクラスター(感染者集団)が発生しては本末転倒。しっかり対策を進める」とする。宍粟市の伊和神社は、新年の祈とうに人数制限を設けるという。
例年は三が日で参拝客が100万人を超える生田神社(神戸市中央区)は11月、スマートフォンを使った新しいおみくじを導入した。番号札を出す筒を介した接触感染を防ぐため、スマホをQRコードなどにかざし、表示された番号でくじと引き換える方式に。分散参拝やマスク着用などを呼び掛けるポスターも作り、境内や近くの駅などに掲示している。
正月明けの恒例行事でも見直しを迫られる神社が多い。西宮神社(西宮市)は、政府の「Go To トラベル」の全国一時停止を受け、1月10日に予定していた「福男選び」を中止。姫路市の十二所神社や朝来市の二宮神社などは、えびす祭りを見送る方針だ。
政府などは「出店で食事をすると感染リスクが高まる」と注意喚起しており、影響は境内の露店にも及ぶ。湊川神社では出店数を例年の140店から70店に半減させ、全て持ち帰りのみとする。生田神社は、出店を境内の外に限定し、例年より距離を空けた配置にするという。
【特集】目で見る兵庫県内の感染状況