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コロナ禍読めぬ客足 年の瀬、神戸や明石の商店街

2020/12/28 09:12

 年の瀬に入り、兵庫県内の商店街でも正月用の食材や飾りを買い求める人々でにぎわい始めたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、店主らも客足や売れ行きを読み切れずにいる。人出の減りに戸惑ったり、巣ごもり需要を期待したりする一方、密を避けて早めの買い出しをする客の姿もある。(森下陽介)

 約130店が並ぶ神戸市兵庫区の東山商店街は毎年、タイや数の子、餅、酒、しめ飾りなどを求めて多くの人が訪れる。しかし店主らは自信が持てない。

 「どれだけ仕入れたらいいのか読めない」と話すのは、鮮魚店「サカタ」の坂田真次さん(61)。いつもは数の子や棒だらを多く仕入れるが、コロナ禍で高齢の常連客が減った。「この時期を逃したら全く売れない」と慎重に見極める。

 一方、密集を避けるため、買い出しを早めた女性(68)は「普段は29、30日ごろにしていたけど、今年は早めに」と話す。東山商店街の近くに住む男性(71)は「寂しい正月になりそう」と声を落とす。昨年妻が亡くなり、1人暮らし。毎年、息子夫婦が孫を連れて帰省していたが、なくなった。1年前は6人分のおせちや餅、お菓子などを用意したが今回は最低限にとどめる。

 明石市の魚の棚東商店街振興組合でも、安原宏樹理事長(48)は「いつもは『明石らしい場所』を求めて客が商店街を訪れるが、今年は見通せない」とする。

 ただ、縁起物の「焼き鯛」を扱う焼き魚店「宝来」では、帰省できない親族に送るためか、商品を郵送する依頼が例年よりも2割ほど増えたという。同店の中林りかさん(48)は「今後は分からないが、少し安心」と胸をなで下ろす。

 「小さな子どもを連れて来るお客さんがめっきり減った」と話すのは、尼崎市の三和本通商店街振興組合の副理事長、鶴留朋代さん(52)。短時間で目的の品だけを買うのも、今年ならではの風景だ。だが、客足は想像していたほど悪くはないという。「『スーパーよりも換気がいい商店街が安心』と来てくれる地元の人がいる。年末を元気に乗り切りたい」と力を込めた。

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