兵庫県東播地域の加古川、高砂市と稲美、播磨町は今春、飲料大手のサントリー食品インターナショナル(東京)と連携し、家庭ごみとして分別回収したペットボトルを、全てペットボトルにリサイクルする事業を始める。現在は大半が食品トレーなど他の製品の材料になるが、全量をペットボトルに再加工することで石油の一層の消費抑制につながり、環境負荷をより低減できるという。
「ボトル to(トゥー) ボトル リサイクル」と呼ばれる事業で、自治体と民間企業が連携して広域で取り組むのは、今回の東播地域が全国で初めて。
現在、国内で流通している主なペットボトルは無色透明の単一素材。使用済みを加工すれば再び製品化でき、汚れて焼却するものを除けば9割以上のリサイクル率が見込める。ただ、家庭から分別回収されたペットボトルは、一般的には日本容器包装リサイクル協会を通じ、入札に参加した多種のリサイクル処理業者が引き取るため、実際は食品トレーや包装、繊維などの材料になることが多い。
同協会のまとめによると、再商品化された製品のうち、ペットボトルの割合は年々増えているものの、2019年度は22・3%にとどまる。他のプラスチック製品になると素材の品質が下がってしまうため、ペットボトルへの再加工が難しくなり、最終的には焼却処分されてしまう。
ペットボトルとして繰り返しリサイクルできると、理論上は新たに石油などの化石資源をほとんど使わなくて済む。さらに廃プラスチックが発生することもなく、循環型社会の実現や、環境悪化防止につながる。
東播2市2町と「サントリー食品-」は2月に協定を結ぶ。回収したペットボトルは同社指定のリサイクル業者がペットボトルに再加工し、サントリープロダクツ高砂工場(高砂市)で製造される商品に使われる。(若林幹夫)