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新型コロナの影響で価格に大きな影響を受けているズワイガニ=昨年12月9日、兵庫県香美町香住区若松、香住漁港西港
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新型コロナの影響で価格に大きな影響を受けているズワイガニ=昨年12月9日、兵庫県香美町香住区若松、香住漁港西港
漁解禁後2カ月で漁獲額が40億円を超えたズワイガニの競り=昨年12月9日、兵庫県香美町香住区若松、香住漁港西港
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漁解禁後2カ月で漁獲額が40億円を超えたズワイガニの競り=昨年12月9日、兵庫県香美町香住区若松、香住漁港西港

 山陰沖で昨秋、解禁されたズワイガニ漁の兵庫県但馬地域での漁獲額が、年末までの約2カ月間で過去最高の約41億4900万円を記録した。新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府の観光支援事業「Go To トラベル」が高値相場をけん引した。ただ、「Go To トラベル」が12月末に停止されたのに続き、1月には緊急事態宣言も再発令され、松葉ガニの落札価格は年末の半値以下に低迷。「バブルがはじけたような感じ」と関係者はため息をつく。(金海隆至)

 兵庫県但馬水産事務所(香美町)によると、今季は沖合底引き網漁船44隻が出漁。昨年11~12月の漁獲量は前年同期比で約1割減ったが、漁獲額は約3割アップの約41億4900万円だった。

 前半の2カ月だけで漁期(昨年11月6日~3月20日)を通じた総漁獲額の過去5年平均(約42億8700万円)に迫り、昨季の過去最高額(約45億円)を更新するのは確実とみられる。

 高値をけん引したのは「Go To トラベル」だ。1キロ当たりの平均単価は松葉ガニ(雄)が前年同期比で約4割増の9282円、セコガニ(雌)が約3割増の5037円。

 地元の宿泊施設で高級な活ガニ料理付きの予約が急増したほか、巣ごもり消費や歳暮向け需要が重なったことが価格を押し上げたという。

 但馬漁協柴山支所所属の漁船「栄正丸」(95トン、9人)は、11~12月で過去最高の1億4700万円(税別)を売り上げた。船主で同漁協組合長の村瀬晴好さん(70)は「カニという食材の価値の高さを再認識した」と話す。

 ただ「Go To トラベル」の停止、さらに緊急事態宣言の再発令と続き、かつてない活況は一変した。価格の下落に加え、観光客の減少や飲食店の営業時間短縮で、カニの出荷が滞るケースも出ている。

 同漁協香住支所販売課の澤田敏幸課長(52)は「需要の先行きが不透明で、今では競りの活気も失われている。『Go To』の恩恵が大きかっただけに、まるで手のひらを返されたよう」と嘆く。

 宿泊施設への打撃も深刻だ。香美町で民宿を営む男性(64)は「カニが安くなっても、客が来なければお手上げ状態。年末に高値で購入したカニの在庫をどうさばけばいいのか」と肩を落としている。

 

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