加古川市出身の歌手菅原洋一が4月3日、神戸市中央区の松方ホールでコンサートを開く。昨年秋に開催予定だったがコロナ禍で延期していた。「古里、兵庫で今、歌えるのは喜びであり、いつまでも大事にしたい歌手としての楽しみ」といい、自身の曲に加え、歌い継がれてきた昭和の名曲も披露する。
加古川市加古川町寺家町生まれ。加古川東高校卒業後、東京・国立音楽大学に進学し1958年、タンゴ歌手としてデビューした。曲折を経て歌謡曲へ。「知りたくないの」が大ヒットし、NHK紅白歌合戦に22年連続出場。70年には「今日でお別れ」で日本レコード大賞を受けた。
今回、それら代表曲のほか、菅原にとっての「偉大な先輩たちの歌も選んだ」。大津美子の「ここに幸あり」、神戸の港の風景を歌った平野愛子「港が見える丘」などは「共感を持って聞いてもらえるのでは」と話す。ピアノ、フルート、チェロの編成で、長男の歌手、英介との共演もある。
昨年12月に亡くなった作詞家なかにし礼との思い出にも触れる。「最も大切な友人の一人。彼との出会いがなければ、今の自分はいなかった」と振り返る。
自粛期間中は「人と会うことを避け、家で発声練習を続ける日々だった」。年齢を重ね「以前のように甘い声は出ないけれど、枯れた良さもあるのでは。今だからこそ伝えられることは何か考えながら歌いたい」と笑顔を見せる。
現在、加古川市の観光大使を務め、本紙の毎週日曜文化面で掲載している「わが心の自叙伝」を執筆中で、波乱の半生をつづる。日頃から「兵庫、加古川と聞くたび、懐かしさとうれしさがわき上がる」と菅原。歌い続けてこられた感謝の思いをメロディーに乗せる。
菅原洋一コンサート2021「和み2~87歳の私からあなたへ」は、4月3日午後3時開演。6千円(1階)、4500円(2階)。同ホールチケットオフィスTEL078・362・7191(片岡達美)