兵庫県知事選(7月1日告示、同18日投開票)の支援候補を巡り、県議会最大会派・自民党で、所属議員11人が会派の方針を不服として脱会する見通しであることが22日、関係者への取材で分かった。離脱する議員らは総務省出身の大阪府財政課長、斎藤元彦氏(43)を知事選に擁立する方針。斎藤氏も無所属で立候補する意向で、県政史上初の自民分裂選挙となる公算が大きくなった。
斎藤氏は神戸市須磨区出身。2002年に総務省に入省し、東日本大震災直後には全村避難となった福島県飯舘村に派遣された。総務大臣政務官秘書官や宮城県財政課長などを歴任し、18年から大阪府に出向中。神戸新聞社の取材に対し、斎藤氏は「現時点ではコメントできない」とした。
自民会派では昨年12月、5期目の井戸敏三知事(75)が今期限りでの退任を表明した後、多数決で金沢和夫副知事(64)に立候補を要請する方針を決定。これに対し一部議員は、議論を尽くさぬ決め方や、井戸県政の継承路線に異論を唱え、刷新を訴えていた。
今月に入り、自民党県連幹事長を務める石川憲幸県議(65)ら十数人が、金沢氏支援の決定を撤回し、次期知事選で支援する候補者の再検討を会派執行部に申し入れ。しかし、会派執行部の藤本百男幹事長(67)は22日、申し入れに応じない考えを示し、会派の分裂が決定的になった。脱会する議員らは近く新たな会派を結成するとみられ、自民会派の分裂は県議会史上初めてとなる。
撤回を申し入れた石川氏ら3議員が取材に応じ「(金沢氏支援の)決め方が拙速かつ、強引だった。異論があることを伝えたが、丁寧な対応をしてもらえなかった」と述べた。
一方、金沢氏は開会中の県議会定例会最終日の24日にも立候補を表明する方針。知事選ではこのほか、日本維新の会が独自候補の擁立を検討し、共産党県委員会などでつくる政治団体も候補者の選定を進めている。(紺野大樹)