兵庫県議会史上初めて、22日に分裂が決定的となった最大会派・自民党(44人)。多数派の知事与党として長年、一枚岩で県政を支えてきたが、一部の議員が井戸県政の継承路線からの刷新を訴え、反旗を翻した。7月の知事選でも保守分裂選挙が現実味を帯びる。所属議員は会派内の情勢に神経をとがらせ、同じく知事与党として相乗りで県政を支えてきた他の主要会派にも波紋が広がった。
「まとまって行動することが、自民のパワーの源泉だった。そのことを踏まえて、大人の行動をしていただきたい」。井戸敏三知事(75)は同日の定例会見で、長年自らの選挙などで支えられた自民の動きをけん制した。
この日、自民会派内では目まぐるしく情勢が動いていた。「対応は検討中だ」。22日午前9時半。次期知事選を巡り、一部議員から申し入れられた金沢和夫副知事(64)支援の撤回について、対応を問われた藤本百男幹事長(67)はいらだった表情で繰り返した。
金沢氏支援の撤回を申し入れたのは、同会派の石川憲幸県議(65)や内藤兵衛県議(62)、松本隆弘県議(58)ら計13人。回答期限としていた午後5時すぎ、石川氏らとの話し合いを終えた藤本氏が取材に応じ、「機関決定なので、白紙撤回や(支援する候補者の)再検討はない」と強い口調で説明。「手続きに瑕疵はないが、最後まで会派はまとめていきたい」とした。
その直後、石川氏ら3人が報道陣に対応。会派執行部の結論に「みんなと一緒に議論し、どういう方向に行くのか協議したい」と述べ、会派離脱の可能性を示した。その後の話し合いで、11人が近く脱会することを決めたという。
同じ知事与党で、これまで相乗りで井戸氏の選挙を支えた他の2会派は、自民内の亀裂に神経をとがらせる。公明党・県民会議の松田一成団長(68)は「驚いた。(国政の)自公の枠組みが大切なので、なんとか一本化を目指してもらいたい。状況を見守るしかない」と静観。立憲民主党の議員らが所属する「ひょうご県民連合」の石井秀武団長(54)は支援する候補者について、「これまでは金沢副知事を軸に検討してきたが、ゼロベースになる」と見直しを示唆した。(紺野大樹、藤井伸哉、大島光貴)