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結審後の報告会で不妊手術や差別に対する怒りを語る原告の小林宝二さん(左)、喜美子さん夫妻=25日午後、神戸市中央区橘通3
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結審後の報告会で不妊手術や差別に対する怒りを語る原告の小林宝二さん(左)、喜美子さん夫妻=25日午後、神戸市中央区橘通3

 旧優生保護法(1948~96年)下で、障害を理由に不妊手術を強いられたとして、兵庫県内の5人が国に損害賠償を求めた訴訟は25日、神戸地裁(小池明善裁判長)で結審した。意見陳述で、原告らは「私たちの苦しみを理解して」と訴えた。判決は8月3日。

 神戸地裁に訴えたのは、兵庫県内の男性=昨年11月に81歳で死去=と妻の女性(80)▽同県明石市の小林宝二さん(89)、喜美子さん(88)夫妻▽神戸市の鈴木由美さん(65)。訴状によると、県内の男性と小林喜美子さんは聴覚障害を、鈴木さんは先天性の脳性まひを理由に不妊手術などを受けさせられたとされ、原告5人がそれぞれ1100万円の賠償を求めている。

 原告の弁護団によると、国側は手術の違法性の有無にかかわらず、20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過したとして請求棄却を求めている。

 意見陳述で原告の弁護団は、旧法や国の教育が社会に植え付けた差別意識は根強いとし、十分な被害者救済や差別是正をしなかった国の不作為を指摘。「現在も国は差別をなくす義務がある」と強調し、除斥期間適用の不当性を主張した。

 原告の小林夫妻は「国が法律を作り、皆が差別してもよいと思うようになった」と憤り、鈴木さんは「私たちも同じ人間として見てほしい」と訴えた。国側は意見を述べなかった。

 同様の訴訟はほかに全国8地裁・支部で起こされ、仙台▽東京▽大阪▽札幌-で計5件の判決が言い渡された。全ての判決で原告の賠償請求が棄却され、いずれの原告も控訴している。

 

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