兵庫県知事選を巡り、県議会最大会派の自民党県議団の方針に反発し、離脱した県議11人のグループが25日、大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)を支援する方針を正式表明した。会見した議員たちは、知事職の副知事への禅譲を疑問視し、「県民は流れを変える人選を求めている」と強調。斬新な発想ができる若い力に期待を込める一方、広い県域での選挙戦を支える態勢には不安を残した。
「退路を断って冷や飯を食う覚悟はできている。多くの県民の理解を得て戦いたい」。会見冒頭、グループをまとめる党県連幹事長の石川憲幸県議(65)が真剣な表情で決意を述べた。24日に会派結成届を提出したことも明かした。
会見では、副知事を辞し、立候補を表明した金沢和夫氏(64)を支援する自民会派に反発した理由に質問が集中。石川氏は「(金沢氏は)能力が高くまじめな方だと認めるが、ポストコロナ社会には新しいことに挑戦し、情報発信する能力が欠かせない」と斎藤氏を持ち上げた。
11人は昨夏以降、順番に斎藤氏と会って意見交換。神戸市出身で、兵庫への深い愛着や地域を発展に導くビジョンを語る姿に「ほれ込んだ」と口々に語った。
金沢氏に比べて20歳若く、行政経験が少ないとの指摘には、新型コロナウイルス禍で対応が注目された大阪府の吉村洋文知事(45)らを引き合いに、石川氏は「若いからといって、しっかりした仕事ができないとは言えない」と強調。知事職を副知事に引き継ぐことが続けば組織の停滞を招くとし、「未知の時代に入り、斬新な発想ができる人材が必要だ」と力を込めた。
ただ、選挙戦には不安も残した。日本維新の会副代表を務める吉村氏らが、政策の一致を前提に斎藤氏への支援に前向きな姿勢を見せていることについて、新会派の幹事長に内定している内藤兵衛県議(62)は「われわれ11人の新会派が推す単独候補だ」と説明。選挙協力について「分からない」と述べるにとどめた。
石川氏は「地盤も看板も資金もない、ないない尽くしだ」と明かし、県民からボランティアやカンパを募り、会員制交流サイト(SNS)を駆使し、「新しい時代の知事選をしてみたい」と語った。(大島光貴)