兵庫県知事選(7月1日告示、同18日投開票)で、自民党県議団から離脱した県議11人が推す大阪府財政課長、斎藤元彦氏(43)に対し、支援をほのめかした日本維新の会代表、松井一郎大阪市長(57)の発言が維新内で臆測を呼んでいる。勢力拡大を目指し、独自候補擁立にこだわる維新の県組織では、相談もなく発信された方針に波紋が広がり、組織幹部が近く、松井氏に会い、真意を確かめる事態となっている。(三島大一郎)
松井氏は23日、自民の離脱グループが擁立する動きにすぐさま反応し、突然、斎藤氏支援を検討する意向を表明。その翌日には、維新副代表の吉村洋文大阪府知事(45)も「政策が一致すれば、全面的に応援する。兵庫の若いリーダーとして適任だ」と応じた。
松井氏の発言に、党本部の関係者は「とっさに選挙の勘が働いたのでは」と話す。維新の県組織「兵庫維新の会」でも、斎藤氏は独自候補の一人に挙がっていたが、停滞している選定を見かねて、あえて道筋を付けたとみる。
また、「松井氏があれだけはっきり言ったら、推薦を出す以外の選択肢は考えられない」と強調。かつて松井氏が大阪で自民を割った後、橋下徹氏(51)とともに維新を立ち上げた経緯を重ね、自民離脱グループに「心意気をかなり評価しているはずだ」とも。
「そんなこと考えていたなら先に言ってくれよ」。別の候補者を軸に検討していた兵庫維新の室井邦彦代表(73)は、相談もなく、頭ごなしに発信された松井氏の方針にいら立ちを見せる。
兵庫維新は昨年12月、5期目の井戸敏三知事(75)が任期満了での退任を表明した直後、会見を開いて独自候補の擁立を宣言。絞り込みを終え、候補者の選定を進めていただけに松井氏の真意を測りかねている。
県組織の幹部らは「党本部からボールが投げられた」と解釈。「候補者に斎藤氏を入れ、その上で選択を迫られている」とする。
ただ、これまでも党本部中心で物事が進むケースが多く、8年ぶりに候補者を立てる4月の宝塚市長選も控え、幹部が松井氏に会い、今後の方針を決める。