新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ「まん延防止等重点措置」が5日、兵庫を含む3府県で始まり、兵庫県は神戸、尼崎、西宮、芦屋市の全飲食店に午後8時までの時短営業を要請した。しかし、各店を見回る県の活動は、店舗リストの作成などが間に合わず、同日は見送られた。飲食店主からは「(見回り調査の)内容が分かりにくい」などの不安の声が上がる。
4市の飲食店を対象にした県の調査は、店舗リスト作成のほか、委託業者や各市との調整も間に合わず、5日の開始を断念した。県の担当職員は「調整ができ次第、できるだけ早く始めたい」としている。
神戸市兵庫区の居酒屋の店長(35)は「どれくらい厳密に調査が行われるのだろうか」と不安を口にした。アクリル板を設置し、客席も間引くといった感染防止対策は講じているが「例えばアクリル板の設置方法まで調査で見られるのだろうか」と疑問は尽きない。
神戸・三宮の繁華街を歩いていた会社員(40)=神戸市中央区=は「飲食店を経営する知人を支援したくて、外食する機会は多い。新しいルールを守って楽しむようにしたい」と、見回り活動や「午後8時閉店」など、新たな対策に理解を示す。
一方、尼崎市では5日、市職員や尼崎南署員ら約15人が阪神尼崎駅北側でマスクとチラシを配布し、駅周辺の飲食店をパトロールした。同駅を利用した会社員(30)=尼崎市=は「先が見えない状況で、昨年のように気温が上がれば感染者が減るのかといった情報が欲しい」と求めた。
兵庫県が5日開設したコールセンターには午後5時までに飲食店などから253件の問い合わせが相次いだ。「アクリル板や二酸化炭素(CO2)センサーは絶対置かなければならないのか」「マスク会食はどこまで厳密にする必要があるのか」など感染防止対策についての質問が大半を占めたという。(まとめ・井原尚基)
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