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宝塚市長選 落選の森脇氏、組織戦も不発

2021/04/12 00:39

 政治家22年の集大成として臨んだ戦いは、力及ばずに終わった。兵庫県宝塚市長選で、自民推薦の元県議森脇保仁氏(68)は「ふるさと愛」を掲げ、自民の組織力を生かした選挙戦を展開したが、支持を広げられず落選。かつて保守の地盤だった宝塚に、15年ぶりの「自民系市長」を誕生させることはできなかった。

 「中川市政を断ち切り、元気な宝塚をつくると訴えたが、及ばなかった」。落選が決まった森脇氏は力なく語り、「朝から晩までご支援いただいたのに、皆さまの気持ちを形にできなかったのは私の責任。申し訳ございませんでした」と支援者に深々と頭を下げた。

 7月の知事選に立候補を予定している金沢和夫前副知事は握手を交わした後、森脇氏の肩をたたき、ねぎらった。金沢氏は「(森脇氏は)県議のベテランで、一人の支持者として、同志として応援していたので残念。一緒に仕事がしたかった」と話した。

 森脇氏が立候補を決めたのは約1年前。知人から「宝塚が地盤沈下している。市長になって変えてくれ」と電話を受けたのがきっかけだという。

 だが確執が伝えられる地元の党幹部に了承を得ないまま、昨年10月に自民県連へ推薦届を提出。「幹部のはんこがない」といったん留保され、12月になって推薦を得た。

 「今回も宝塚の自民はまとまらない。県連も冷ややかだ」。そう党関係者が漏らす中で迎えた選挙。しかし告示直前、知事選の候補者選びを巡って党県議団が分裂すると、雰囲気は一変し、前哨戦の色合いが強まった。

 出陣式には、知事選で金沢氏を推す“同志”の県議十数人や井戸敏三知事らが来援。陣営は「知事選の余波で、逆に勢いが出た」と語り、序盤には「森脇リード」という情勢調査も一部で流れた。

 「落選すれば引退」と周囲に語り、退路を断って奔走。市議1期、県議5期の実績をもとに「国や県とのパイプ」を強調し、道路をはじめインフラの整備を進めるとアピールした。財政再建と教育再生を果たし、中核市への移行を実現して「宝塚を再び元気にする」と訴えた。

 しかし、現職の後継候補と維新の公認候補が激しく競り合う中、存在感を発揮しきれずに埋没。頼みの保守票をつかみきれず、涙をのんだ。(山岸洋介、村上貴浩)

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