大阪市から兵庫県丹波篠山市へ移住した料理人・居相聡(いあいさとし)さん(46)が24日、城下町エリアの同市立町で、古い商家を改装した創作料理店「醸(かもす)」をオープンする。新鮮な野菜など地元食材を中心に、昼はカレー、夜は一品料理やワインを提供。「こちらで多くの人にお世話になり、出会いや縁で成長できた。町に恩返ししたい」と、丹波篠山の新たな食の発信基地を目指す。(堀井正純)
居相さんは大阪市出身。地元の料理学校で学び、卒業後は母校でイタリアンやスペイン料理などの助手を務めた。その後、カフェなど大阪の飲食店で働いたが、丹波篠山産の野菜の味に感動したことなどをきっかけに現地を訪ね、8年前、移り住んだ。
市内の古民家レストラン「sasarai(ささらい)」(丹波篠山市日置)に7年ほど勤め、今回、念願の独立を果たした。農家など生産者の知り合いも増え、地元の旬の食材にこだわる。「コロナ禍で不安もあるが、自分がやりたいことができるワクワク感がある」とにっこり。
建物は、元は米穀商だった築約160年の木造建築。全国で古民家再生に取り組む「NOTE」(ノオト、丹波篠山市)が、経済産業省の補助金などで、昨年夏に改修した。建物の奥部分は、安価で気軽に泊まれるゲストハウス「KOMEYA」として既にオープン、別会社が運営している。
料理店は、通りに面したエリアで47平方メートル。カウンター席7席とテーブル(2人)、座敷(6人まで)があり、土壁や木のぬくもりを感じさせる落ち着いた空間となっている。
和食やスパイスについて独学した居相さんが、ランチは得意のスパイスカレー、夜はワインや日本酒に合う野菜や鶏など、日替わりの一品料理を中心に腕をふるう。自ら育てたハーブや、自家製の梅酒、こうじ、塩レモンなども活用。「一人で切り盛りするので、利益を求めるより、夜も1人3、4千円くらいで気軽に楽しめる交流の場にしたい。観光客だけでなく、地元の人々に愛されるお店になれば」と話している。火・水曜定休。同店TEL079・506・7701