ほ、ほ、ホタル。なぜ光る? ふうわり飛んで。瞬いて。白い光跡残し、ついと消える-。
ピークは過ぎたものの、兵庫県の丹波各地でまだ、ホタルの群舞が夜の水辺を彩っている。同県丹波篠山市市野々の川沿いも、森に静かなイルミネーションがともったよう。シカやキツネも見とれているか? 水面に淡い光を映し、はかなげに舞う虫もいる。
ゆっくりと呼吸するように明滅し、軽やかに飛翔して。ゆらり宙に描くのは、恋のサイン。相手求めて、短い命の灯をともす。鳴かぬホタルが身を焦がす。
コロナ禍の人の世の憂いを知らずか。地球は回る。季節は巡る。時を忘れて見ほれるような、ホタルのランデブーも間もなく見納め。見上げれば空には北斗七星。天に昇って星に化けたか? ほ、ほ、ホウタル来い。(堀井正純)