丹波

はためく色、まるで屋外芸術 田畑の獣害対策テープ

2021/07/10 05:30

 バタバタ。緑の田園地帯に不似合いな、ショッキングピンクのテープが風にうなる。色と音による、シカやイノシシよけの獣害対策用品だ。実用品だが、水田や畑に張り巡らされた様子は、現代アートの野外インスタレーション(空間芸術)にも似る。

 狙いはまったく異なるものの、同じように蛍光色のピンクや黄色の細長いベルトで、学校の建物などをつなぎ、巨大アートに仕立てた飯川雄大(いいかわたけひろ)さん(神戸市)のような気鋭の美術家もいる。芸術の大きな特徴の一つが「異化効果」。慣れ親しんだモノや情景を、意表を突いたアイデアや手法で、非日常的なモノへと変貌させる。

 このど派手なテープは、兵庫県の丹波各地で目にするが、まさに農村風景の中の「異物」。野生動物だけでなく、人の目にも違和感を与える。けれど、水田に、空や山とともに映り込む「ピンク」によって生まれた抽象的な線や形は面白く、美しいといえなくもない。

 もちろん、稲の苗をシカに荒らされる農家にとっては「造形美」どころではない切実な問題。実際、シカが水田に侵入した現場にも出くわした。撮影したのは田植えが終わった5月末。今は苗も背丈が伸び、大きく育っていることだろう。(堀井正純)

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