ロシア人はロシア以外の国々にもたくさん住んでいます。よくロシア政府は「外国に住んでいるロシア人を保護する」と口にしますが、実際のところロシア連邦以外に住んでいるロシア人は本国のことをどのように思っているのでしょうか。
■旧ソ連諸国に数多く住むロシア人
当然のことながらロシア人の多くはロシア連邦に住んでいますが、現在でも旧ソ連諸国に住む人もたくさんいます。とは言ってもソ連が崩壊して早30年以上。「旧ソ連諸国」と聞いてもピンと来ない読者のために、ソビエト連邦を構成していた国々を列挙してみましょう。
▽ロシア
▽東ヨーロッパ:ウクライナ、ベラルーシ、モルドバ
▽バルト諸国:エストニア、ラトビア、リトアニア
▽カフカス:ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン
▽中央アジア:カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン
全体的にソ連時代と比較すると旧ソ連諸国に住むロシア人は減っています。ただし比率はバラバラです。たとえばカザフスタンはカザフ人約68%、ロシア人約19%とロシア人の比率が高いです。
一方、カザフスタンの隣国キルギスではロシア人は約5%しか住んでいません。もっとも、現在の混乱からキルギスに逃れるロシア人もいることから、多少比率が高まるかもしれませんが。
■「本国のロシア人と一緒にしないでください」
筆者は2017年にラトビアの首都リーガを訪れました。リーガはラトビアの首都ですが、住民の約40%はロシア人です。露店で琥珀を売っていたおばあちゃんはロシア人でしたし、レストランでもふつうにロシア語が通じます。またロシア語の語学学校があるため、ロシア語の語学留学先をリーガにする日本人もいます。
それではラトビアに住むロシア人はロシア連邦やプーチン大統領のことをどのように思っているのでしょうか。1991(平成3)年ソ連内務省特殊部隊がリーガで事件を起こした際に、バリケードを築いた歴史を紹介する「1991年バリケード博物館」を訪れた時の出来事です。
ちょうど女性のスタッフがおり、声をかけてみると彼女はロシア人でした。話の中でロシア連邦やプーチン大統領をどう思っていますかと質問すると、「ラトビアに住むロシア人と本国のロシア人は違います。私たちは民主主義を尊重し、ラトビア人と仲良くやっています」と強く主張し、「このことを日本に伝えてください」と述べました。
当然のことながら、彼女はプーチン大統領不支持の姿勢を鮮明にし、「ロシア人=ロシア連邦&プーチン大統領賛成」と思ってはいけないということを学びました。
ところでロシア帝国時代に移住したロシア人の末裔と第二次世界大戦後に移住したロシア人とは意識が違うように思われます。その時は彼女に移住した年代までを問うことはできませんでした。
■ 「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の人々はどうなのか
現在、ウクライナ東部にはウクライナ政府がコントロールできない独立地域「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」がありロシア連邦が強力にサポートしています。よく「親露」と呼ばれる地域ですが、実際のところはどうなのでしょうか。
慶応義塾大学の大串敦教授の論文によると、2014年3月時点ではドネツク市民はそれほど親ロシア派を支持していなかったようです。当時は2月に起きた「マイダン革命」により、ウクライナ東部を基盤としていたヤヌコヴィチ大統領や与党地域党が失脚したタイミングでした。
現在ですと大きく意識が変わっているかもしれません。いつか平和になった時に改めて住民にロシア連邦をどう思っているのか、聞いてみたいですね。
◇ ◇
【参考文献】大串敦著「ウクライナの求心的多頭競合体制」『地域研究』2015年16巻1号46頁~61頁
(まいどなニュース特約・新田 浩之)
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