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市外・県外被災者アンケート 慣れ親しんだ街 戻りたい
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 「慣れ親しんだ街に戻りたいと思うが、当面は避難先で暮らさざるを得ない」。阪神・淡路大震災後、市外・県外に避難した被災者の四割が、望郷の念にかられながらも避難先での暮らしを消極的に選択していることが、神戸新聞社が行ったアンケート調査で明らかになった。市外・県外被災者には高齢者が多く、家も地域とのつながりも失った被災地に戻ったとしても、自立した生活ができるかどうかに不安を感じていることなどが背景にある。

 調査は一昨年に引き続いて実施。昨年十一月、百八十世帯にアンケート用紙を郵送し、百十九人(六六・一%)から回答を得た。

 今も被災時とは異なる街で暮らしている人を対象にした設問「元いた街に戻りたいと思いますか」への回答は、グラフの通り。この一年に被災地に戻った十一人と、無回答の一人を除く百七人のうち、「絶対戻りたい」「できれば戻りたい」は合わせて四十人(三七・四%)。「戻りたいとは思うが当面はここで暮らさざるを得ない」は四十二人(三九・三%)に上った。

 「当面はここで…」を選んだ理由を複数回答で尋ねると、「戻っても自立して生活できるか不安」が十七人で最多。「その他」の回答の中にも「震災半年後に大手術を受け、足に多少の後遺症がある」「健康が思わしくない。良い医者がこちらにあった」「一人暮らしなので息子と娘の近くで暮らす」など、健康状態や高齢での一人暮らしへの不安を挙げる回答が目立った。少数ながら、避難先で家を購入するなどして永住を決めたケースもあった。

 市外・県外被災者を支援している街づくり支援協会(大阪市西区)の中西光子事務局長は「市外・県外被災者には高齢者が多い。戻ることへの支援策が明確に打ち出されていない中、帰るのにも不安があるのは当然で、四年間暮らした今の場所での安定を選択せざるを得ない状況だろう。戻りたいという人が安心して戻れるための支援策が必要」と話している。

1999/1/12

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