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新社屋で鉄道用の機械部品を手にする高田社長=神戸市西区見津が丘5
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新社屋で鉄道用の機械部品を手にする高田社長=神戸市西区見津が丘5

 阪神・淡路大震災の被災中小企業向けに神戸市が整備した公営賃貸工場「ものづくり復興工場」(同市兵庫区)で操業を続けてきた金属加工メーカー「高田工業所」(高田陽司社長)が、昨年11月、同市西区の産業団地に新社屋を建設し、移転した。スペースは3倍の1500平方メートル。市によると、復興工場の入居企業が大規模な土地を取得して自社工場を新設したのは初のケースという。(高見雄樹)

 同工場は、市が103億円を投じて建設した全国初の大規模な公営賃貸工場。1998年から入居が始まり、機械金属加工やケミカルシューズ関連などの事業者が入り、現在は全97社のうち被災企業は49社に上る。

 高田工業所は89年、現社長の父の高田龍造さん(70)が創業した。ねじと共に使う薄い円形の「ワッシャー」を作ってきたが、95年の震災で当時須磨区にあった工場が半壊。機械がずれ、材料の流通が止まるなど休業を余儀なくされた。

 98年に復興工場に入居。不況に加え、安価な海外製品の流通に苦しんだが、2007年に精密加工ができる最新装置を導入し、愛知県の建設会社に勤めていた陽司さん(40)が跡を継いだ。

 金属部品の隙間を埋め、微細な調整に使われる「シム」と呼ばれる薄い金属板などを製造。特に厚さ0・1ミリ以下の薄い金属を切り、鉄道の車輪調整用シムに加工することで業績を上げた。自社のウェブサイトも開設し、新規顧客を集めた。

 この設備投資以降、仕事の受注は、これまでの2倍、売上高も1億8千万円(13年8月期)と、10年前のほぼ2倍になった。社員数も5人から12人に増員するなど、工場が手狭になったことから移転を決意したという。

 高田社長は「0・01ミリの薄い金属を加工できる技術を極め、品質を高めて宇宙・航空分野にも挑戦したい」と意気込む。

2014/1/9
 

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