神戸大の六甲台キャンパス(神戸市灘区)と深江キャンパス(同市東灘区)で17日、阪神・淡路大震災で亡くなった学生らの追悼式典があった。兄を亡くした妹は、兄の名から1字をもらった息子と参列。小さな手が、銘板に刻まれた名前を優しくなでた。
震災では神戸大の学生39人と職員2人、神戸商船大(現・神戸大海事科学部)の学生5人と研究員1人が犠牲になった。
六甲台では遺族、大学関係者ら約200人が参列。大学院生だった竸基弘さん=当時(23)=の妹、岩瀬朗子さん(40)=名古屋市=は長男の樹弘君(9)や母恵美子さん(66)ら6人で訪れた。
二つ違いの基弘さんは灘区にあったアパートが崩れ、下敷きになった。「何年も悲しくてしょうがなかった」と朗子さん。「お兄ちゃんとつながっている証しに」と、その後授かった樹弘君の名前に「弘」の1字をもらった。
毎年、樹弘君も神戸大を訪れる。この日は銘板に刻まれた基弘さんの名前に触れ、写真でしか知らないおじさんに心の中でつぶやいた。「一度、会ってみたかったです」(紺野大樹)