失われた事件記録 最高裁への提言
2019年に重要な民事裁判記録の大量廃棄を相次いで報じた元朝日新聞記者の奥山俊宏さん(右)と、元共同通信記者の澤康臣さん=東京都内

 なぜ、重要な事件記録の廃棄は繰り返されるのか。事件記録の保存規定は、「成人か少年か」「刑事か民事か」「判決か関連文書か」など、文書の種類によってそれぞれ異なる。成人の刑事裁判であれば、「刑事確定訴訟記録法」という法律で保存期間が定められ、各検察庁が管理している。一方で、裁判所が保存する民事裁判記録や少年審判記録の保存は法律に基づかず、「事件記録等保存規程」という最高裁の内規にしか定めがないのが実情だ。

成人未満失われた事件記録失われた事件記録 最高裁への提言
あれほど重要な文書をどうして捨てるのか、理解できないと嘆く声は多い。1997年の神戸連続児童殺傷事件をはじめとする重大少年事件記録の廃棄問題。しかし、司法文書の管理に詳しい専門家には、それが裁判所職員にとって自然の流れだったと指摘する人もいる。現状、司法文書全体の99・9%は捨てられていると説く、元青山学院大法科大学院教授の塚原英治弁護士(71)は「保存スペースと人を確保することが、何より重要」と強調する。

 あれほど重要な文書をどうして捨てるのか、理解できないと嘆く声は多い。1997年の神戸連続児童殺傷事件をはじめとする重大少年事件記録の廃棄問題。しかし、司法文書の管理に詳しい専門家には、それが裁判所職員にとって自然の流れだったと指摘する人もいる。現状、司法文書全体の99・9%は捨てられていると説く、元青山学院大法科大学院教授の塚原英治弁護士(71)は「保存スペースと人を確保することが、何より重要」と強調する。

成人未満失われた事件記録失われた事件記録 最高裁への提言
成人の刑事裁判と異なり、家庭裁判所の少年審判は立ち直りを重視する少年法に基づき非公開だ。ただ、審判で決定した事実に疑いが生じることもある。少年審判で認められた殺人などの非行事実が、後の民事訴訟で覆ったのが「草加事件」だ。元少年の「無罪」を導いた端緒は、少年事件記録だった。弁護団長を務めた清水洋弁護士(74)は「裁判官は記録に対する問題意識を持たない」とし、少年事件記録を永久保存する選定作業に第三者の目を入れるべきだと訴える。

 成人の刑事裁判と異なり、家庭裁判所の少年審判は立ち直りを重視する少年法に基づき非公開だ。ただ、審判で決定した事実に疑いが生じることもある。少年審判で認められた殺人などの非行事実が、後の民事訴訟で覆ったのが「草加事件」だ。元少年の「無罪」を導いた端緒は、少年事件記録だった。弁護団長を務めた清水洋弁護士(74)は「裁判官は記録に対する問題意識を持たない」とし、少年事件記録を永久保存する選定作業に第三者の目を入れるべきだと訴える。

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