社説

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 自民、公明両党が2020年度与党税制改正大綱を決めた。

 目立つのは、企業活動に対する優遇策ばかりだ。甘利明自民党税制調査会長は安倍晋三首相に近いだけに、企業が抱え込む内部留保を投資や研究開発に向けさせることで、「アベノミクス」をもう一度打ち上げようとの思惑があるのだろう。

 だがそもそも法人税は、税率自体が何度も引き下げられている。消費税率が3回も引き上げられたのとは対照的だ。税収全体が伸びない要因の一つとも指摘される。

 高齢化により社会保障費が膨らみ続ける中で重要なのは、税制全体を見直し、社会全体で公平な負担の在り方を探ることだ。

 そのための一歩を踏み出す責任があることを、政府、与党は自覚せねばならない。

 法人税の優遇では、ベンチャー企業への出資や第5世代(5G)移動通信システムへの設備投資などを新たに対象とする。

 新たな減税策を打ち出すには財源を見つけねばならず、資本金100億円以上の大企業を対象に交際費の一部を非課税にする特例措置を打ち切る。

 大企業の交際費の非課税特例は、14年度の税制改正で景気刺激を目的に導入されたばかりだ。そもそも接待などの交際費を削り込む企業が多い中で、この特例措置がどれだけ実効性を持つか、導入段階できちんと検証できたのだろうか。別の優遇策を設けても、どれだけ事業意欲を刺激するかは見通せない。

 一方、個人の税制では、ひとり親に対する支援策が見直された点が目を引く。

 これまで配偶者と離婚・死別した場合のみが対象だった「寡婦(寡夫)控除」を、未婚のひとり親にも適用拡大することを決めた。婚姻歴のあるひとり親では男性のみにあった所得制限を、女性にも設けた。

 この控除は1951年、戦争で夫を失った妻への支援を想定して創設された。その後、働く女性や事実婚の増加など社会情勢の変化にそぐわなくなり、子どもを守る観点から見直しが求められていた。

 しかし自民党内には、旧来の家族観への固執から反発が根強かった。独自の支援をする自治体も少なくないだけに、税制を時代に合わせて見直した点は評価できる。

 ただ、時代遅れの税制はこればかりではない。働く女性が一般的になる中で、専業主婦を対象とした配偶者控除を残し続けているのはその一例である。

 小手先の減税や増税にとどまらず、税制全体の抜本的な刷新に着手するべきだ。

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