ロシアの国家ぐるみのドーピング隠しに厳罰が下された。世界反ドーピング機関(WADA)は、同国の選手団を東京五輪・パラリンピックなど主要大会から4年間除外すると決めた。極めて厳しい処分だが、公表された調査報告書に照らし合わせれば当然といえる。
WADAは、ロシアから提供を受けた298選手のデータに改ざんの疑いがあり、少なくとも145選手分で不正があったとした。うち約3分の1は現役選手だ。残り153選手はさらに詳細な調査が必要で、テコンドーやレスリングなどの選手が含まれているとしている。
データには、ドーピング違反が疑われる分析結果の改ざんや削除が数百件確認されたとする。ロシアの組織的不正を告発した人物に罪をなすりつけるかのような捏造(ねつぞう)まで判明したという。
ロシアのドーピング問題は、2014年に陸上界の疑惑から表面化した。これまでに、検体のすり替えや違反隠しのための金銭授受のほか、国の情報機関が不正工作を担っていたことが明らかになっている。
今回のデータは、不正関与で資格を停止されたロシアの反ドーピング機関の処分解除と引き換えに提供されたものだ。
改革への姿勢を試される機会に、なおも世界を欺こうとしたロシアの行為は極めて悪質だ。
厳罰の背景には、16年のリオデジャネイロ五輪の反省がある。
WADAは14年のソチ冬季五輪でロシアの薬物投与や隠蔽(いんぺい)を認定し、リオからのロシア締め出しを勧告していた。国際パラリンピック委員会が応じる一方、国際オリンピック委員会(IOC)は従わず、約280人のロシア選手が五輪に参加した。
不正疑惑が拡大する中、大国に対するIOCの弱腰姿勢が批判を浴び、WADAの権限が強化された。
ロシアのメドベージェフ首相は「ロシアに対するヒステリーの継続だ」と反発する。スポーツ仲裁裁判所に訴える可能性もある。
しかし、ロシアに対する世界の目はより厳しくなっている。うそにうそを重ねてきた代償の大きさを直視して、処分を受け入れるべきだ。
選手については、個人資格で出場する「救済」の道を残した。だが、18年の平昌冬季五輪では、潔白と認めた選手から違反者が出たこともあり、厳格な審査が求められる。
ドーピングは公平性、清廉性というスポーツの根幹を揺るがし、選手の心身をむしばむ。IOCはWADAの決定に従うとしたが、東京五輪を「クリーンな大会」にするためのドーピング根絶への決意をもっと強く打ち出すべきだ。








