社説

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 萩生田(はぎうだ)光一文部科学相はきのう、2020年度からの大学入学共通テストで導入予定だった国語と数学の記述式問題を取りやめると発表した。「安心して受験できる体制を早期に整えることは難しいと判断した」と述べた。

 何を今さら、である。

 実施まであと1年という土壇場になって、やっと正式に見送りが表明された。しかし、教育現場の混乱は収まる気配がない。説明も至って不十分だ。

 記述式を巡っては採点ミスの恐れや自己採点の難しさなど、数年前から入試の根幹にかかわる課題が指摘されてきた。ところが文科相はつい2週間ほど前まで実施ありきのかたくなな姿勢だった。

 受験生を翻弄(ほんろう)した文科省の責任は厳しく問われねばならない。うやむやにすれば、同じ失敗を繰り返す恐れがある。

 まずは国語と数学の問題作成や配点の見直し、試験時間の配分などをできるだけ早く詰めて公表する必要がある。今のままでは対策の取りようがなく、受験生の不安は膨らむばかりだ。

 現在の大学入試センター試験の後継となる共通テストは、「1点刻みからの脱却」を掲げた大学入試改革の核という位置付けだ。その目玉が記述式問題と英語民間検定試験の導入だった。

 しかし、どちらも中止に追い込まれた。制度設計のずさんさを考えれば当然の結果だが、入試改革そのものの意義が問われる異常事態に陥った。

 共通テストの導入に至る経緯をたどると、安倍政権の教育再生実行会議の提言に行き当たる。

 中でも英語の民間検定試験の導入は、グローバル人材を求める産業界の強い意向を受けて決まった。政治主導の入試改革といえる。

 入試制度の見直しには、そうした経緯を明らかにすることが不可欠だ。政治の責任は極めて重い。

 きのうの会見で文科相は「記述式は期限を区切った延期ではない。まっさらな状態から対応したい」と話した。一方、英語は24年度をめどに新形式の試験を始める意向を示している。

 英語についても実施時期ありきではなく、一から問題点を洗い出さねばならない。50万人以上が受ける試験でありながら、民間に採点などを丸投げすることが果たして適切か、再考すべきだ。

 神戸新聞は、これまでも社説で入試制度の抜本的な見直しを訴えてきた。記述式の見送りが決まった今、改めて公平性を重視した丁寧な議論を求めたい。

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