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 中国・武漢市で集団発生した新型コロナウイルスによる肺炎が急拡大している。

 中国政府はきのう、新型肺炎について初めて会見し、発症者が400人を超えたと発表した。中国以外では、タイや日本、韓国、米国などで確認されており、世界各地への「飛び火」が懸念される。

 新型肺炎は、武漢市内の海鮮市場で取引される野生動物が感染源と疑われているが、特定に至っておらず、有効な治療法が確立されていない。中国政府は、世界保健機関(WHO)や各国と協力し、感染源の特定など対策を急ぐべきだ。

 感染者の急増を受け、習近平国家主席は全力で制圧するよう関係部門に指示した。武漢市では直ちに市長をトップとする指揮本部を立ち上げた。国家の威信をかけて封じ込めを図る姿勢を示したと言えるが、対応が後手に回っている感が否めない。

 新型肺炎が確認されたのは、武漢市当局が昨年末、原因不明の肺炎患者の存在を明らかにしたのが最初である。今月9日には新型コロナウイルス検出が報道され、初の死者も出た。「人から人」への感染が既に判明しており、さらなる拡大は避けられそうにない。

 中国政府がいち早く本格的な対策に着手していれば、状況は違ったのではないか。情報統制を強め、これまで会見を開かなかった当局の対応は理解しがたい。

 2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を巡っては、中国政府による感染拡大の公表が大幅に遅れ、WHOなどから強い批判を招いた。新型肺炎を抑え込むためにも中国政府は、内外に向けて正確で積極的な情報発信に努めねばならない。

 折しも中国では25日の春節に合わせた大型連休で延べ約30億人が移動すると見込まれている。訪日客も相当数になるとみられ、日本政府は水際対策の強化を図る方針だ。

 空港や港などで完全に食い止めるのは不可能だろう。感染者が受診することを前提に、専門的な医療機関の準備を進めてもらいたい。

 一方で、ウイルスの毒性はそれほど強くないとみられる。専門家は現段階では神経質になる必要はないと指摘している。

 大切なのはインフルエンザ対策と同様、こまめな手洗いやマスク着用など一人一人が感染から身を守る取り組みだ。中国からの観光客を排除することも避けねばならない。

 ただ、楽観はできない。ウイルスが変異を重ねることで、毒性や感染力を増す可能性があるからだ。国際社会が連携し、最大限の警戒を続けることが重要だ。

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