社説

  • 印刷

 介護保険制度が始まって今年で20年になる。3年に1度の見直しが2021年度に予定され、今国会に改正案が提出される見込みだ。

 変更点は主に二つある。

 特別養護老人ホームなどの施設に入る低所得世帯の一部について、食費の自己負担を月額2万2千円上乗せし、約5万3千円とする。対象者は最大30万人に上るという。

 もう一つは、高所得世帯が介護サービスを利用する際の自己負担額の上限引き上げだ。現在の月4万4400円を、年収によって9万3千円、14万100円にする。こちらは約3万人が対象となる。

 見直しに当たって意見を取りまとめた社会保障審議会では、サービス利用の自己負担割合を原則1割から2割に引き上げる案が最大の焦点となったが、今回は見送られた。反発を恐れたとみられる。

 介護費用は膨らみ続けている。この20年間で当初の3倍の10兆円超に達した。22年度には団塊世代が75歳以上になり始め、介護ニーズはさらに急増する。

 高齢者のみならず、現役世代も安心できる持続可能な制度にするためには、給付と負担のバランスに加え、安定財源の確保が欠かせない。

 とはいえ、安易に自己負担を引き上げれば、サービスの利用をためらう高齢者が出てくる。その結果、介護の必要性の増加や、家族の負担を高めることにつながりかねない。

 介護が必要な高齢者を社会全体で支えるという、制度の原点を忘れてはならない。長期的な視点に立ち、負担の在り方について丁寧に議論する必要がある。

 まずは低所得世帯への配慮を求めたい。その上で、一定程度の所得と資産がある高齢者には、経済力に応じて負担してもらうことは避けられないだろう。

 政府が年末にまとめた「全世代型社会保障」の中間報告は、一定の所得がある75歳以上の医療機関の窓口負担を現状の1割から2割に引き上げることを盛り込んだ。

 医療と介護がダブルで負担増となれば、よほどの高所得者でない限り、家計への影響は大きい。所得のどこで線を引くか、きめ細かな対応が求められる。

 世代間の不均衡や不公平感を生まない工夫も不可欠である。

 現在、介護保険料の徴収は40歳から始まるが、社会保障審議会では引き下げる案も検討課題に挙がった。見送られたとはいえ、子育て世代の負担増は慎重な議論を求めたい。

 介護人材の確保も急がれる。さらなる処遇改善を進めたい。保険料にとどまらず、社会保障財源の抜本的改革は避けて通れない。

社説の最新
もっと見る

天気(7月15日)

  • 27℃
  • 22℃
  • 20%

  • 25℃
  • 22℃
  • 60%

  • 27℃
  • 22℃
  • 30%

  • 27℃
  • 22℃
  • 40%

お知らせ