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 日米安全保障条約が旧条約から改定され、今年で60年になる。両国代表が新条約に署名したのと同じ1月19日に政府は記念式典を行い、日米同盟を強化する方針を表明した。

 戦後、日本は安保条約に基づいて米軍基地を受け入れた。強大な軍事力のひさしの下で経済発展を遂げた側面は否めない。

 今後も米国との緊密な関係の維持が重要なことは確かだろう。

 ただ、安保条約の目的は「安全と平和の維持」にある。世界各地で軍事行動を展開する米国の戦略とは一線を画す必要がある。

 自衛隊と米軍の一体化の進展が他国から「加担」と受け取られれば、長年培った「平和国家」の信頼を損なう恐れがある。「戦争放棄」を定めた憲法を骨抜きにするような危うい動きは、慎むべきである。

 旧条約では、米国は日本国内の基地を使用しても、日本を守る義務はなかった。60年前の改定で、日米が「共通の危険」に対処し行動すると防衛義務が明記された。

 日本に対して武力攻撃がなされた場合、自衛隊は侵攻を食い止める「盾」に徹し、敵に打撃を与える「矛」の働きは米軍が担う。それが現在の基本的な関係である。

 だが、「専守防衛」の原則をあいまいにする動きが目立つ。有志連合への参加を呼び掛けたトランプ米大統領に配慮する形で中東地域に自衛隊を派遣した政府の決定は、その典型例といえるだろう。

 この30年、日本は米国の要請に応えて自衛隊の活動範囲を海外に広げてきた。湾岸戦争では掃海艇をペルシャ湾に派遣し、イラク戦争では陸上自衛隊を現地に駐留させた。

 安倍政権はさらに踏み込んで、歴代政権が「憲法の制約でできない」としてきた集団的自衛権の行使を限定的に容認した。「憲法違反」の批判を押し切って成立させた安保関連法では、自衛艦による米艦船の防護などを平時から実施している。

 政府は宇宙やサイバー空間などの領域でも、米軍との連携を目指している。動きは加速するばかりだ。

 一方で、公務中の米兵などの事件事故で米国の裁判権が優先される日米地位協定の見直しは、一向に進まない。米軍機が墜落事故を起こしても、日本側に情報が満足に伝達されない現実がある。

 安倍晋三首相は日米安保条約を「不滅の柱」と表現したが、トランプ氏は米軍駐留経費の負担増や兵器購入の増額を一方的に日本に迫る。

 不平等な地位協定や、沖縄県民の反発を押し切って進む普天間飛行場の辺野古移設工事などの問題を放置したままでは、「柱」を支える同盟への信頼が揺らぎかねない。

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