2020年度政府予算案が与党などの賛成多数で衆院を通過した。一般会計総額が102兆円を超える過去最大の予算案は、憲法の規定で今月末までの成立が確実となった。
通常国会は前半のヤマ場を越えたが、緊急の課題として浮上したのが新型コロナウイルスの感染対策だ。
安倍晋三首相は2月29日に感染拡大に関して初めて記者会見した。
首相の突然の休校要請は、共働きや一人親の家庭や卒業・入試などを控えた子どもたちに混乱を広げている。その影響を問われても「私が決断した以上、私の責任で万全の対応を取る決意だ」と自らの政治決断を強調するばかりで、決定の経緯や根拠について具体的な説明は避けた。
国民の不安を解消し、理解を得られたとは言いがたい。
首相は「前例にとらわれず必要な対策をちゅうちょなく講じた」とこれまでの政府対応を自賛した。だが、集団感染が発生したクルーズ船に長期間足止めを食った乗員乗客らの間で下船後も感染が広がるなど「後手後手」との批判はやまない。
仕事を休まなければならない保護者の収入減に対する助成金創設や、企業への支援などの緊急対策を速やかにまとめる方針も表明した。野党にも協力を求めるという。
ところが、迅速で実効ある政策遂行が求められる大事な時期に、首相や政権への信頼が失われている。
これまでの国会論戦を通じ、首相主催の「桜を見る会」の私物化疑惑に加え、東京高検検事長の定年延長を巡る強引な法解釈の変更など新たな問題が次々に発覚した。
桜を見る会前日の首相後援会主催の夕食会を巡っては、会場のホテルが野党に示した回答と首相の主張が食い違っていることが分かった。
首相は「あくまで一般論で、個別案件は含まれない」などと反論したが、ホテルが発行した明細書や首相側への回答文書など「証拠」は示せず、疑惑はますます膨らんだ。
現行法に規定がない検事長の定年延長の違法性を指摘されると、首相は唐突に法解釈を変更したと表明した。法相や人事院の局長は答弁修正に追われ、検討過程の文書は日付がないなど解釈変更そのものが「後付け」だった疑念が深まっている。
政権の都合で法解釈を変えられるなら法治国家とはいえない。だが、首相は「何ら問題はない」との答弁を繰り返し、自ら招いた問題の重大性に向き合おうとしない。内閣支持率の急落は当然といえる。
未知のウイルスを一刻も早く終息させるためにも政権への信頼回復は欠かせない。首相は、今週始まる参院予算委員会の審議に真摯(しんし)な姿勢で臨むべきだ。








