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 政府は、兵庫や東京など7都府県に出した緊急事態宣言と併せて、総事業費108兆2千億円の緊急経済対策を閣議決定した。リーマン・ショック後に策定された対策の2倍近い、過去最大規模となった。

 緊急事態宣言の期限は1カ月間で、休業した事業者や収入が減少した家計が甚大な影響を受けるのは間違いない。国内総生産(GDP)の2割に当たる巨額の数字となったのは、それだけ経済や国民生活への打撃を深刻にみている証しだろう。

 しかし宣言に合わせた政府の緊急経済対策は、休業中の事業者への個別補償を盛り込まなかった。安倍晋三首相は国会答弁で「現実的ではない」と否定的な姿勢を示した。

 経済対策では、雇用を維持する事業所向けに助成金給付を拡大する。だが補償なしの休業が長期化すれば雇用維持どころか、存続が危うくなる事業所が増えかねない。

 全国知事会は、休業要請に応じた企業などへの損失補償を国に求めている。やむにやまれず営業を続ける事業主が増え、外出自粛の効果を薄める展開を懸念する。安心して休める環境を整える手だてを、政府と国会は早急に練り上げねばならない。

 首相は今回の経済対策を、「世界的に見ても最大級」と自己評価した。だが納税猶予や昨年の経済対策の未執行分なども含まれ、財政支出は39兆円にとどまる。規模ありきで中身を膨らませた印象は拭えない。

 中小企業には最大200万円の給付金も設けたが、多くの事業主が安心できる額とは言い難い。収入減の世帯には30万円を給付する。しかし基準となる住民税非課税額は市区町村で異なり、実際に受け取れるのは5月中がめどという。手続きが煩雑で、支給に時間がかかりすぎる。

 ウイルス禍の深刻さは、2020年度予算案を審議中の段階から指摘されていた。野党は予算案を修正し本格対策を講じるよう求めていた。対して政府は19年度予算の予備費で当座をしのぎ、20年度予算案成立後に補正予算を組む手法に固執した。対策の遅れを猛省するべきだ。

 25年前の阪神・淡路大震災では、被災地が求めた個人補償を政府はかたくなに拒み、生活復興が進まなかった。その反省から、議員立法で被災者生活再建支援法が制定された。

 日本経済の現状を首相が「戦後最大の危機に直面している」と認識するのなら意識を切り替え、必要な政策に貴重な財源を集中させるよう指導力を発揮しなければならない。

 政府は20日にも補正予算案を国会に提出する。事業補償や追加給付を盛り込んだ2次補正予算案の編成も視野に入れる必要がある。与野党が結束して取り組んでもらいたい。

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