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 沖縄の民意を何度踏みにじるつもりなのか。政府は、新型コロナウイルスの影響で約2カ月中断していた米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を再開した。7日の沖縄県議選で移設反対派が過半数を維持したばかりだ。

 コロナ禍で暮らしの危機に見舞われても、反対の民意は揺るがなかった。安倍政権は重く受け止め、工事を中止して県との対話に臨むべきだ。

 沖縄では、2018年9月の知事選で移設に反対する玉城デニー氏が初当選し、昨年2月の県民投票では7割超が辺野古沖の埋め立てに反対した。その後の国政選挙でも反対派が相次ぎ当選している。

 ところが政府は、お構いなしに埋め立て工事を進めた。

 辺野古沿岸部で軟弱地盤が確認され、地盤改良の設計変更を県に申請したのは今年4月。感染拡大で県が独自に緊急事態宣言を出した翌日だ。県がコロナ対応に追われる中で手続きを進めようとする国の姿勢は、県との溝を一層深めた。

 今回の投票率は46・96%で過去最低だった。コロナの影響だけでなく県民の無力感の表れとすれば深刻だ。民意を無視し続けた安倍政権の責任は大きい。

 菅義偉官房長官は、自民党が2議席増えたことで「辺野古移設への地元の理解が進んでいるのではないか」との認識を示した。大勢を見ない身勝手な解釈というほかない。

 辺野古移設計画は費用も工期も当初から大きく膨らみ、普天間の早期危険性除去という目的を逸脱している。政府は国外、県外移設も視野に、負担軽減策を練り直すのが筋である。

 一方、玉城知事が抱える難題に変わりはない。民意を原動力に辺野古問題の打開策を探るとともに、コロナ禍で打撃を受けた観光産業の立て直しや県民の生活支援に取り組まねばならない。立場が異なる勢力とも協力し、実績を重ねる必要がある。

 自治の観点からも、地方選挙の結果を軽んじる政権の姿勢は見過ごせない。

 コロナ禍の対応で知事らの存在感が高まる今、全国の首長や議会から、沖縄の民意を尊重するよう国に求める動きが出てくることを期待する。

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