社説

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 ゲームやインターネットに長時間没頭する子どもに手を焼く保護者は少なくないだろう。コロナウイルス禍による休校中、「ゲーム漬けになった」との声も聞かれた。

 とはいえ、行政が家庭でのゲームの利用時間を一律に制限するルールを押しつけることには、強い違和感を禁じ得ない。

 香川県で4月に施行された「ネット・ゲーム依存症対策条例」は異例ともいえる内容だ。

 18歳未満のゲーム時間は平日は60分、休日は90分までとする。スマートフォンの使用は、中学生以下が午後9時、それ以外は午後10時までにやめさせる。これらを目安に保護者にルールを守らせる努力義務を課した。罰則はない。

 ゲームがやめられず、日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」は世界保健機関(WHO)が昨年、依存症に認定した。対策は急務である。

 しかし、家庭のルールづくりは親子間で話し合うなどして自主性に委ねるべきものだ。

 香川県民からは多くの異論が出た。県内の高校生と母親が、条例は基本的人権を侵害し違憲だとして県に賠償を求める裁判を起こす予定だ。県弁護士会も条例廃止を求めている。

 条例には見過ごせない記述がいくつも見られる。

 例えば、ゲームの過剰な利用は学力や体力の低下、ひきこもりといった身体的な問題まで引き起こすと指摘される-とある。だが、ひきこもりなどには、いじめや家庭不和が関連している場合が多く、ネットが居場所という子どももいる。

 ゲームを問題の「原因」と安易に決めつけて制限しても根本的な解決にならないばかりか、子どもを追い詰めかねない。

 さらに驚くのは、ゲーム依存の予防に「乳幼児期からの子どもと保護者の愛着の形成が重要」と強調している点である。親の愛情不足がゲーム障害を生むかのような表現は科学的根拠を著しく欠いている。

 次世代をネットやゲームの依存症から守るには、家庭、学校、保健・医療、関連業界などの連携が肝心だ。相談や支援体制の充実も求められる。

 上からの規制でなく、子どもが主体的に考える場が必要だ。

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