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 関西電力は、高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役から経営陣が金品を受領していた問題が発覚して以来初となる株主総会を開いた。前経団連会長の榊原定征(さだゆき)氏らの取締役選任や、社外取締役の権限が強い「指名委員会等設置会社」に移行する議案を可決し、榊原氏は会長に就任して新体制が正式に発足した。

 総会は3時間を超え、株主からは不正の責任を問う声が相次いだ。東日本大震災後の料金値上げ時にカットした役員報酬を、退任後に穴埋めした問題にも批判が集まった。

 関電は穴埋め分が全額返還されたと報告したが、重要なのは内向きの経営体質からの脱却だ。

 東京電力福島第1原発事故や尼崎JR脱線事故が示すように、公益企業の経営体質のひずみは社会に深刻な影響を及ぼしかねない。そのことを直視して、新体制による改革を断行しなければならない。

 関電側は金品受領の責任を問い、前会長や前社長ら5人の旧経営陣に損害賠償を求め提訴した。一方、5人の個人株主が起こした株主代表訴訟は、現経営陣も含め22人を相手取っている。

 第三者委員会の調査では、役員ら75人が元助役から3億6千万円分を受け取った。高浜原発に絡んだ「原発マネー」の還流との指摘もある。関電の提訴は対象を絞り込んでいるが、不透明な資金の流れを司法の場で解明するには、幅広い責任追及が不可欠ではなかったか。

 企業が旧経営陣の責任を問う裁判は、主張の食い違いから長期化する例が多い。その間に記憶の風化や、双方がなれ合って和解に持ち込むなどで真相解明がおざなりになる懸念が否めない。

 関電の筆頭株主である大阪市の代理人として総会に参加した弁護士は、関電が起こした損害賠償訴訟に市が参加できるとの認識を示した。関電が過去と本気で決別するのなら、株主と連携した責任追及も真剣に検討するべきだ。

 総会では、原発依存からの脱却などを求めた株主提案の議案がすべて否決された。関電側は、安全確保を大前提とした原発活用を取締役会の意見として示している。

 福島事故の反省から原発の安全基準は強化され、テロ対策も含めた費用は膨れあがる一方だ。全国の電力会社で年間1兆円規模の維持費が必要とされ、もはや低コストのエネルギーとは言えなくなっている。

 原発をとりまく環境が大きく変わる中で、公益企業として経営の安定をいかに図っていくのか。「原子力ムラ」の論理から脱却して次代への戦略を練り上げることも、関電の重要な使命である。

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