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 東京都知事選で小池百合子氏が再選を果たした。

 争点は新型コロナウイルス対策をはじめ、延期された東京五輪・パラリンピックへの対応、コロナ後の首都像など多岐にわたった。過去最多の22人が立候補したが、人の集まる選挙運動を各陣営が抑制したこともあり論戦が深まったとは言い難い。

 投票率は55%と前回より4・7ポイント下がる中、小池氏は前回の291万票を上回る約366万票を獲得した。混乱の渦中で、都民は現職に都政の安定を託したと言える。

 自民党が候補擁立を見送り、野党側が候補の一本化に失敗した結果でもあり、国政で小池氏の存在感が増すとの見方もある。

 だが、圧勝に慢心してはならない。課題解決の手腕がこれまで以上に求められると肝に銘じ、地に足を着けた都政運営に徹するべきだ。

 最優先課題はコロナ対策である。

 小池氏は、都の基準に基づく「東京アラート」を解除した翌日に立候補を表明した。選挙中、新規感染者が連日100人を超えると、今度は数値基準のない別の指標に変更した。コロナ対策を選挙の都合に合わせたと不評を買った。

 当初は、緊急事態宣言に慎重な政府を横目に「首都封鎖(ロックダウン)」に言及して注目を集めた。休業要請に応じた事業者に協力金を給付する支援策を国に先んじて打ちだす“英断”でも一定の評価を得た。

 ただ、都内の感染は再拡大の傾向を見せ、経済活動への影響は深刻だ。都財政もコロナ対策に1兆円超を投じたため財政調整基金が1割以下に急減し、余裕を失いつつある。

 公約に掲げた「東京版CDC(疾病対策予防センター)」の創設など第2波に備えた対策の具体化、感染対策と社会活動とのバランス、東京五輪開催経費の追加負担など、選挙戦で指摘された懸念に明確な方針を示さねばならない。

 小池都政4年の検証は不十分だった。築地市場の豊洲への移転延期、五輪予算の見直しなどを掲げて初当選したものの、結果として既定路線に戻っている。待機児童や満員電車などを解消する「七つのゼロ」の公約も大半が達成されていない。

 候補者同士の討論会で批判され、正面から答えない場面が目についた。「都政の透明化」による「東京大改革」を掲げた原点に返り、都民への説明責任を果たすべきだ。

 コロナ禍では東京一極集中のリスクが明らかになった。感染症対策やテレワークの環境整備、直下型地震への備えなどの難題をどう解決するか。東京の施策は地方の将来にも影響する。役割の重さを自覚し、実績で力量を示してもらいたい。

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