社説

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 新型コロナウイルス感染症収束後の社会のあり方について、兵庫県ゆかりの有識者でつくる「ポストコロナ社会兵庫会議」が提言をまとめた。

 世界的な感染症流行に堪えうる医療体制の構築や行政、経済活動などのデジタル化の加速、一極集中を解消する分散型社会への転換などを促す内容だ。

 柱となるのが感染症、災害対策など政府の危機管理を一元化する「危機管理省(緊急事態省)」創設の提案である。

 阪神・淡路大震災の経験を基に、兵庫県や神戸新聞社は「防災庁(省)」の創設を求めてきた。提言は、それと機能分担する形での「感染症対策庁」創設も選択肢として示している。

 国民の命と暮らしを守る政府機関はどうあるべきか、具体的な議論を深めたい。

 会議は県立大の五百旗頭(いおきべ)真理事長の呼び掛けで設置された。建築家の安藤忠雄さん、劇作家の平田オリザさん、南裕子神戸市看護大学長、室崎益輝県立大教授ら12人が意見を寄せた。

 コロナ後の将来像は、感染症に強い社会が前提となる。日本は欧米先進国と比べて封じ込めに成功したとの見方があるが、はるかに少ない感染者数でも医療は崩壊の危機に直面した。

 提言は特に「検査体制の脆弱(ぜいじゃく)さ」を課題に挙げ、病床の確保などと併せて拡充を図り「第2波に備えるべき」とする。検査がなかなか受けられず不安を招いた状況を繰り返さないよう、改善を急ぐのは当然だ。

 「場当たり的」と批判された政府対応については、国立感染症研究所などの専門機関と国の政策づくりが連動していないことも要因と指摘した。

 解決策としての危機管理省創設などの提案は、米国の疾病対策センター(CDC)などをモデルとする。必要なのは、復興庁のような省庁の調整役でなく、危機対応の司令塔だろう。

 今回、提言が「自助」「公助」と並んで住民同士の「共助」の意義に言及した点にも注目したい。被災者らが助け合った大震災の経験は、感染症流行の中でも生かせるのではないか。

 感染拡大のリスクを避けながら、どのような市民レベルの連携や支援が可能か、地域の力を引き出す議論が重要になる。

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