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 森友学園問題に絡む決裁文書を改ざんさせられ、自ら命を絶った財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんの妻雅子さんが、国と佐川宣寿(のぶひさ)元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟の審理が大阪地裁で始まった。

 仕事に誇りを持っていた夫がなぜ死を選ばねばならなかったのか。真相を知りたいという遺族の訴えに、国と佐川氏は今度こそ誠実に向き合うべきだ。

 赤木さんは改ざん発覚直後の2018年3月、自殺した。不正行為を強要した組織への絶望、抵抗しつつも指示に従ったことへの自責の念などをつづった遺書と手記を残していた。

 焦点は誰が、何のために改ざんを指示したかである。

 財務省は同年6月に公表した調査報告書で、佐川氏が「改ざんを主導した」としたが、指示の有無には触れていない。これに対し、雅子さんが今年3月公表した手記には「すべて佐川氏の指示」と書かれていた。

 改ざんは、安倍晋三首相が国会で「私や妻が(国有地売却に)関わっていれば総理も国会議員も辞める」と答弁した直後に始まった。だが、首相も財務省も、発言と改ざんとの因果関係は認めていない。

 真相解明に消極的な国の姿勢はこれだけではない。赤木さんの死は昨年、公務災害に認定された。認定文書の情報公開請求に対し、近畿財務局はコロナ禍による緊急事態宣言を理由に開示決定を1年も先送りした。

 検察は改ざんに関わったとして告発された財務省関係者らの刑事処分を見送り、財務省は35万人が署名した第三者委員会による再調査の要求に応じない。国を挙げて、不都合な事実をもみ消そうとしていると疑われても仕方なかろう。

 全ての発端となった森友学園への国有地売却では、大幅値引きの過程で安倍昭恵首相夫人の関与が疑われている。

 佐川氏は、国会では「刑事訴追の恐れがある」として証言を避けてきた。不起訴で刑事処分を免れた以上、真相をありのままに語らねばならない。

 安倍首相には自らの疑惑の真偽を明らかにする責任がある。国有地売却と文書改ざんの経緯を第三者による再調査に委ね、うみを出し切るべきだ。

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