社説

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 沖縄県をはじめ全国各地の在日米軍基地で、新型コロナウイルスの感染が拡大している。感染者が140人を超えているのは確実だが、詳しい状況は分からない。

 濃厚接触者や感染経路を特定する国や自治体の「クラスター対策」が基地内には及ばず、防疫体制が米軍任せになっているためだ。

 日本の国内法が在日米軍に適用されない日米地位協定が、ここでも大きな壁として立ちはだかる。沖縄では、米軍関係者から地元のタクシー運転手への感染が確認され、周辺住民の不安は高まるばかりだ。

 政府は、入国時などのPCR検査や情報公開を求めているが、米軍の動きは鈍い。3万人以上が駐留するとされる国内の基地が大規模な感染源とならないよう、対策への協力を米国に強く迫るべきである。

 在日米軍はこのほど、感染者数を「10基地140人」と公表した。しかしこれは16日時点の数字で、既に回復した人は含まれていない。

 米国防省は、基地や部隊ごとの感染者数を公表しない方針を示している。ただ、感染者の大半が駐留する沖縄県は、個々の行動歴などの情報提供を粘り強く求めてきた。

 今回の公表はようやくそれに応えた形だが、数字だけでは十分な内容とはいい難い。

 米国の感染者は383万人、死者は14万人と世界最多で、入国拒否の対象国である。国内でも再拡大が懸念される中、国境を越えた往来に神経をとがらせるのは当然だ。

 ところが米軍関係者は地位協定で検疫の対象外とされ、入国拒否もできない。基地から入国する兵士などの人数や氏名は、政府も把握しておらず、日本の国境管理に大きな穴があいた状態といえる。

 一般の空港を利用する場合には民間人と同様、検疫を受ける。だが今回、羽田空港から入国した米軍関係者が、検疫所のPCR検査の結果が出る前に山口県の岩国基地に移動していたことが発覚した。

 「レンタカーを使う」と申告しながら、実際は民間機を利用していた。日本の水際対策を軽視し、信頼を裏切る行為と言うしかない。

 日米両国は、基地内で感染症が発生した場合、地元保健所に通報して協力することで合意している。現実には、沖縄の米軍は県当局に感染者の人数だけを伝え、逆に情報を公表しないよう促したとされる。

 河野太郎防衛相は記者会見で「地元の不安を払拭(ふっしょく)するということで在日米軍も頑張ってくれている」と述べたが、耳を疑う発言だ。日本の法令に従うよう米側に要請し、地位協定の改定を提起する。それが国民を守る政府の責務ではないか。

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