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 看板政策の数値目標があっさり取り下げられた。

 政府は「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標達成を断念した。「20年代の可能な限り早期に30%程度となるよう目指す」との表記に変えるという。

 事実上の先送りであり、看板倒れというほかない。

 現行の目標は03年に設定された。安倍晋三首相は12年の第2次政権発足当初から「女性活躍」を成長戦略の柱に据え、目標達成への決意を語ってきた。海外投資家に「女性が立ち上がれば日本経済は成長する」と投資を呼びかけたこともある。

 しかし派手なかけ声とは裏腹に、本気度が見えない。何より首相自身に、幅広く女性の人材を育成し、登用する姿勢に欠けている。「結局ポーズだけだった」と受け止める女性は多いに違いない。

 コロナ禍による休校などで家庭の負担が増え、さまざまなしわ寄せが女性に偏っている現状が浮き彫りになった。性別に関係なく仕事と家庭生活が両立できる社会づくりを後退させてはならない。

 政府はあいまいな表現でお茶を濁すのではなく、数値目標を改めて設け、達成するための具体的な道筋を示すべきだ。

 各分野の女性登用は少しずつ進んでいるものの、国際的には周回遅れのままである。

 中でも政治分野の「男性中心」が際立つ。今年5月現在、日本の国会議員(衆院)の女性比率は9・9%で、世界189カ国中166位。女性議員がゼロの地方議会もある。企業や公務員の女性管理職は主要先進国で30~40%だが、日本は19年時点で14・8%にとどまる。

 海外との差が埋まらないのは、日本の取り組みが関係者の努力や自主性に委ねられているためだ。

 安倍政権下では、企業などに女性の採用や登用の計画策定を義務付ける「女性活躍推進法」と、候補者をできるだけ男女同数にするように政党に求める「政治分野の男女共同参画推進法」が施行された。だが、どちらも強制力はない。

 努力に任せているだけでは女性登用は進まない。女性の割合を一定以上にする「クオータ制」は、130カ国以上の国政選挙で導入されている。日本でも思い切った施策を検討する必要がある。女性自身も意識を変える努力がいるだろう。

 「性差への偏見が根強い地域ほど若い女性が都市部に出ていく」と指摘する識者は少なくない。人口流出に悩む地域こそ、男女格差の是正は急務といえる。自治体トップの姿勢も問われている。

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