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 中国は沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す。北朝鮮は弾道ミサイル発射を続け、新型ミサイルの開発も進める。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で国際社会の協調が求められる中、東アジアでは軍事的な緊張が和らぐ気配はない。今年の防衛白書は、改めて中国や北朝鮮の動きに対する警戒心をあらわにした。

 だが、力で対抗するだけでは際限のない軍拡競争に陥る恐れが否めない。過熱を防ぐための平和戦略を描く必要がある。

 河野太郎防衛相が秋田、山口両県への地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画停止を発表したのは6月のことだ。米国の要請を受けた巨額の「兵器爆買い」計画を見直した決断は評価したい。

 ただ、白書はこの方針転換に関して「新しい方向性」を打ち出すと書くにとどめた。

 一方、政府、自民党は、計画断念による「ミサイル防衛の空白」を埋める名目で「敵基地攻撃能力」の保有を実現しようと動きだした。攻撃される前に他国の基地などをミサイルなどで破壊する対応は「自衛の範囲内」という理屈である。

 政府は国家安全保障会議で来月にも方向性を示す方針だが、「専守防衛」の基本姿勢に関わる問題であり、結論ありきの進め方は許されない。

 北朝鮮は探知が難しいミサイルの開発を進め、中国も「極超音速滑空兵器」などの先端兵器で攻撃力の向上を図る。いずれも通常のミサイル防衛網では対処が難しい兵器とされる。

 中国の国防費は日本の防衛費の4倍近く、まともに力で競い合えば、地域の平和と安定は損なわれるばかりだろう。

 中国の領海侵入について、白書は「現状変更の試みを執拗(しつよう)に継続」と「強い懸念」を表明した。北朝鮮の動向も「重大かつ差し迫った脅威」とした。そうであれば、韓国など近隣国との連携がいっそう重要になる。

 だが、機密情報を共有する日韓軍事情報包括保護協定の終了が取りざたされるなど、政治対立は防衛協力に影を落とす。

 緊張が高まる時期だからこそ他国との信頼を深める努力を重ね、「平和国家」にふさわしい環境づくりに力を注ぐべきだ。

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