社説

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 磁気ネックレスなど健康器具の預託商法を展開し、巨額の負債を抱えて破綻した「ジャパンライフ」(東京)が、顧客にうその説明をして資金をだまし取ったとして、警視庁などの合同捜査本部は、元会長山口隆祥容疑者(78)ら元幹部14人を詐欺の疑いで逮捕した。

 2017年8~11月、債務超過と知りながら、購入した商品を周囲に宣伝すれば元本を保証し配当を支払う、とうそを言い、男女12人から計約8千万円をだまし取った疑いがある。合同捜査本部は、全国の延べ約1万人から計約2100億円を違法に集めたとみている。

 同社は、購入した商品を第三者に貸す形にして、年約6%の配当を得られるという「レンタルオーナー制度」を売りにしていた。

 だが商品はほとんど存在せず、実態は新規契約の代金を配当に回す自転車操業だったとみられる。破綻を回避するため、高齢者を狙って執拗(しつよう)な勧誘を繰り返していたようだ。

 預託商法の被害としては11年に破綻した安愚楽牧場の約4300億円に次ぐ規模だ。国民生活センターに寄せられた相談は10年から今年8月までに3千件を超え、相談者の大半は70歳以上だった。

 老後の資金や健康への不安に付け込み、交友関係も利用して、高齢者の蓄えを食い物にした手口は悪質というほかない。徹底した捜査で、巨額被害を生んだ手口や資金の流れなどの全容を解明してもらいたい。

 ジャパンライフは、1975年の設立当初から強引な商法でトラブルが相次ぎ、80年代には国会でマルチ商法まがいと批判を浴びた。2016年以降、特定商取引法違反に当たるなどとして消費者庁から計4回の一部業務停止命令を受けている。

 問題のある会社の延命に一役買ったとみられるのが、政官界との緊密なつながりだ。複数の政治家に献金していたほか、消費者庁や内閣府のOBを顧問に迎え入れていた。

 15年には安倍晋三首相(当時)が主催する「桜を見る会」に山口容疑者が招待され、招待状を宣伝のチラシに使っていた。これで「信用できる会社だと思った」と証言する被害者もいる。

 招待状は首相推薦枠だったとして野党は追及している。加藤勝信官房長官は、招待者名簿が廃棄されていることなどを理由に、従来通り再調査には否定的な考えを示した。

 菅義偉首相は就任早々、桜を見る会の中止を決めた。だからといって疑惑の幕引きは許されない。

 招待状が悪用され、被害の拡大につながったとすれば見過ごせない問題だ。政府は招待の経緯を明らかにし、国民に説明する責任がある。

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