社説

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 中東で長年敵対してきたアラブ諸国とイスラエルとの間で「国交ドミノ」といえる動きが起きている。しかし、地域全体の和平につながるかは予断を許さない状況だ。

 アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンの2国が、イスラエルとの国交を正常化した。仲介したトランプ米大統領は、合意文書の署名式が開かれたホワイトハウスで演説し、外交成果として誇示した。

 一方、パレスチナ自治政府は猛反発している。当然だろう。1948年のイスラエル建国で多くのアラブ人がパレスチナの地を追われた。アラブ諸国は難民の帰還など、この問題が解決されない限りイスラエルと国交を持たないとの「大義」を掲げてきた。

 だが、このたびの国交正常化はパレスチナ問題の根本的な解決を前提としていない。そればかりか、イスラエルによるパレスチナの占領を事実上追認するものだ。

 日本を含む国際社会は「2国家共存」での解決を提唱してきた。両者の対話を促すとともに、入植地拡大を続けるイスラエルへの国際的な圧力を今後も継続する必要がある。

 トランプ大統領は自らの再選のために露骨なイスラエル寄りの政策を推し進める。日本は米政権と冷静な距離を取り、欧州などと連携を深めるべきだ。

 中東の「地殻変動」の背景には、同じイスラム教でもシーア派が主流のイランに対するスンニ派のアラブ諸国の警戒心や敵がい心がある。

 核開発を進め、民兵などを通して周辺国への影響力を増すイランは、ペルシャ湾をはさんで対岸のUAEや地域大国であるサウジアラビアにとって脅威となっている。その結果、和平交渉が行き詰まるパレスチナ問題の優先度が低下した。

 米政権はイランとの核合意から離脱し、包囲網構築を目指して他のアラブ諸国にもイスラエルとの関係改善を呼びかけている。国交ドミノは、中東に新たな対立構造を招く恐れが否定できない。

 日本はイランとも友好関係を築いている。中東の安定は日本の国益に直結する。緊張緩和に日本が果たす役割は大きい。

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