社説

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 2021年度政府予算の各省庁からの概算要求が締め切られた。総額は105兆円を突破し、3年連続で過去最大を更新した。

 膨張の主因は新型コロナウイルス対策と、菅義偉首相が掲げるデジタル化に関わる施策を各省庁が一斉に要求した点にある。これから財務省による査定が始まる。いずれも政権が掲げる「看板」だが、実効性について厳しい見極めが必要だ。

 今回の概算要求で、財務省はコロナ対策の「緊要な経費」なら通常の施策と分けて要求できるという基準を示した。

 だが、各省庁の要求には地方の魅力発信やインフラ輸出など、コロナ対策との関連が不明朗な施策が山積する。農林水産省は大半の施策を「コロナ関連」とし、要求額を昨年より2割も増やした。

 加えて目につくのは、金額を示さずに項目だけを示した「事項要求」だ。一例が防衛省で、配備を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替案に関する金額を示していない。

 今回の要求額には、社会保障の自然増やコロナ関連の対策費は含まれていない。各省庁の事項要求の中身が詰まっていけば、総額は数兆円規模で増える可能性がある。

 見逃してならないのは20年度2次補正予算に、コロナ対策を想定した10兆円もの巨額の予備費が計上されている点だ。国会の議決を得なくても政府の裁量で使える。

 冬場の感染再拡大に備える必要はあるにしても、半分の5兆円はまだ使い道が決まっていない。

 さらに21年度予算編成で金額を明示しない事項要求が積み上がるのは、施策の内容や効果を精査していないためではないかとの懸念を抱かざるを得ない。

 予算の編成過程や使い道が見えにくくなれば、国民のニーズとかけ離れた無駄遣いが増えて、財政を一段と圧迫する恐れがある。

 安倍晋三前首相は経済政策アベノミクスの一環に財政出動を掲げ、政府予算は右肩上がりを続けた。

 しかし税収の伸びは追いつかず、巨額の国債を発行し帳尻を合わせてきた。その結果、国の借金は1千兆円を超す。

 今回の概算要求も、国債費は5年ぶりに要求段階で25兆円を突破した。借金が毎年増えているのに、政府は25年度に財政健全化を達成するとの目標を変えていない。

 財政規律が緩んだままでは、目標の達成は到底難しい。少子高齢化で社会保障費の急増が避けられない中、借金依存も前政権から継承してよいのか。菅政権は予算編成のあり方を真剣に考えねばならない。

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