社説

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 宮城県の村井嘉浩知事が、東北電力女川原発2号機の再稼働に同意すると表明した。原発が立地する女川町長、石巻市長と3者会談した上での判断で、必要な地元同意手続きはこれで完了した。東北電力は2022年度以降の再稼働を目指す。

 村井知事は苦渋の決断としながらも「安全性はしっかり確認できた。地域経済の発展にも寄与する」と述べた。だが自ら認めるように、地元には安全性への不安が根強く残る。住民の心情を置き去りにした同意には疑問を抱かざるを得ない。

 女川原発は東日本大震災で3基の原子炉が全て自動停止した。津波で建屋の地下が浸水し、壁に千カ所以上のひびも見つかった。

 国内には、沸騰水型軽水炉と加圧水型軽水炉がある。女川原発は沸騰水型だ。原子炉内で水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回して発電する。加圧水型は、原子炉で熱した水を蒸気発生器に送り、別の発電用の水を沸騰させる。

 東京電力福島第1原発事故後、西日本の5原発9基が再稼働したが、いずれも加圧水型だった。沸騰水型は女川原発が初めてとなる。重大な事故を起こした福島原発と同じ型式であり、再稼働にはより厳しい目が向けられていた。

 女川町は1965年に約1万8千人だった人口が約6300人に減少するなど、過疎化に悩む。立地に伴う交付金はこれまでに約270億円あり、昨年度の固定資産税のうち9割は東北電力関連だった。地域の維持のために再稼働を求める意見が出てくることは理解できる。

 ただ一方で、震災後、原発に依存しない町づくりを始めるべきだとの声も地元にはある。議論が尽くされない中で、知事は結論を急ぎすぎたのではないか。

 地元紙・河北新報が今年、宮城県内の有権者に行った世論調査では、再稼働に「反対」「どちらかといえば反対」とする回答が合わせて61・5%だった。地元全体の理解が得られているとは到底いえない。

 最も懸念されるのは、女川原発が事故を起こしたとき、近隣住民の避難に長い時間がかかることだ。原発がある牡鹿(おしか)半島は道路が限られ、交通渋滞が起きる恐れがある。住民は「事故があれば逃げようがない」と不安を口にする。

 仙台高裁も10月、再稼働への同意差し止めを求める仮処分を認めなかったものの、避難については「現状では相当の課題が残されていると認めざるを得ない」と指摘した。

 重要なのは住民の安全だ。同意した地元自治体は、最悪の事態を想定した避難対策を講じる責務を認識しなければならない。

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