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 「1票の格差」が最大3・00倍だった昨年7月の参院選は投票価値の平等を定める憲法に違反するとして二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟で、最高裁大法廷は「合憲」とする統一判断を示した。

 全国14の高裁・高裁支部の判断は16件中14件が合憲、2件が違憲状態と分かれていた。合憲判決は、2県を一つの選挙区とする「合区」の導入で格差が3・08倍に縮小した2016年選挙から2回連続となる。

 ただ、15人の裁判官のうち3人は「違憲」との反対意見を述べた。都市部への人口集中が続く中、都道府県単位の選挙区を維持したままの弥縫(びほう)策には限界が見えている。

 国会は司法判断に甘んじることなく、抜本的な制度改革の議論を続けなければならない。

 判決は、国会の取り組みに大きな進展が見られないと不満を表明する一方、改革には時間がかかり「格差是正の姿勢が失われたと断じることはできない」とも述べた。

 しかし、この間の国会の姿勢には大いに疑問がある。

 19年選挙を前にした18年の公選法改正は、埼玉選挙区の2増などにとどまった。鳥取・島根、徳島・高知の合区に踏み切った15年の法改正では、付則で「抜本的に見直し、必ず結論を得る」と立法府の決意を示した。それを果たさないまま、18年の改正では「引き続き検討する」との付帯決議に後退している。

 判決は、地元の反対がある中で合区を維持した点を評価した。これにも違和感がぬぐえない。

 対象県で投票率が低下するなど合区の弊害が生じているが、国会で解消に向けた議論は深まらなかった。代わりに自民党が主導したのは、比例に「特定枠」を設け、合区で割を食う現職を救済する策である。

 党利党略を優先し、改革の議論を避けた政治の怠慢にほかならず、「格差是正の姿勢」とは程遠い。

 これを合憲とすれば、約3倍までの格差を容認し、現状維持でよしとする司法のメッセージと受け取られかねない。反対意見を出した裁判官らの危惧は当然だろう。

 最高裁は参院選について長年5倍程度の格差を容認してきたが、近年は衆院選と同様、投票価値の平等を重視し国会への警告を強めている。

 格差が最大5・00倍だった10年選挙、4・77倍の13年選挙を「違憲状態」と断じ、都道府県単位の選挙区を見直すよう迫った。今回の多数意見も、国会にさらなる格差是正の取り組みを求めている。

 不断の改革を怠れば、より厳しい司法判断が下る。与野党はそう肝に銘じ、参院のあり方から問い直す議論に今度こそ踏み込むべきだ。

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