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 安倍晋三前首相の後援会による「桜を見る会」前日の夕食会で、安倍氏側が参加者の飲食代など約800万円を補填した疑いが浮上した。

 有権者への金品提供を禁じる公選法や、政治資金規正法に抵触しないかを調べるため、東京地検特捜部が安倍氏の公設第1秘書や地元支援者を任意で事情聴取したことも判明した。安倍氏は「捜査に全面協力している」と記者団に述べた。

 一連の問題発覚から約1年たつ。安倍氏は首相在職中、国会で「事務所の収入や支出は一切なく、政治資金報告書に記載する必要はない」と答弁し、疑惑を完全否定してきた。

 だが、会場となったホテル側が作成した明細書があることが分かった。安倍氏側が費用の一部を負担したことが確認できる内容だ。検察は徹底捜査すべきである。

 現職の首相が、疑惑をごまかすために虚偽の説明を繰り返してきたとすれば事態は深刻といえる。首相を退いたからといって責任を免れることはできない。安倍氏は国会や記者会見で自ら真実を語るべきだ。

 疑惑は、昨年11月、共産党議員が桜を見る会の「私物化」を追及する中で浮上し、学者や弁護士らが安倍氏らを告発していた。

 夕食会は第2次安倍政権発足後の2013年から19年まで東京都内のホテルで開かれ、支援者らが1人5千円の会費で参加した。うち15年からの支払総額は2千万円を超え、会費で不足する分を安倍氏側が穴埋めした疑いが持たれている。

 鍵は明細書の存在である。野党がホテル側に問い合わせ「例外なく発行している」との回答を得たのに対し、安倍氏は「あくまで一般論」と反論し、ホテル側から提示はなかったとして提出を拒んできた。

 やましい点がないなら、ホテル側に再発行を求め、明細書を開示すれば済んだ話である。それをせず曖昧な説明を繰り返してきたのはなぜか。安倍氏自身の対応が疑惑を深める要因となったのは間違いない。

 桜を見る会本体の実態解明も中ぶらりんのままだ。時の首相がさまざまな分野の功労者をねぎらう公的行事だが、安倍首相時代から支援者らが多数招かれるようになった。詐欺容疑の逮捕者が「首相枠」で招待されていた疑いもある。

 野党議員から資料請求があった日に招待者名簿が廃棄されるなど、ずさんな公文書管理も表面化した。

 当時官房長官だった菅義偉首相は、会そのものを中止することで幕を引く構えだ。「臭いものにふた」では、腐敗は断ち切れない。前首相の「政治とカネ」の問題に白黒をつけられるか。菅首相の姿勢が問われていることも忘れてはならない。

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