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 米国のトランプ大統領が、バイデン次期大統領への引き継ぎを容認する姿勢に転じた。

 トランプ氏は現時点に至っても大統領選挙の敗北を認めていないが、米政治の正常化へ向けた大きな一歩と受け止めたい。

 民主党候補のバイデン氏が勝利を確実にしたのは、2週間以上前の7日である。しかし、共和党候補のトランプ大統領は負けを認めず、政権移行の手続きを拒んでいた。

 そのため、バイデン氏のチームは政権継承に必要な安全保障などの重要情報を得られなかった。米国政治史上でかつてない異例の事態であり、身内の共和党からも批判が強まったのは当然と言える。

 超大国の政治の混迷が続けば、影響は米国内にとどまらず、世界情勢の不安定化を招く懸念がある。

 新型コロナウイルス感染の「第3波」に見舞われる米国では、1日当たりの新規感染者が20万人近くにまで増えている。死者は25万人を超え、医療崩壊寸前の州もある。

 ところが、トランプ氏はコロナ対策よりも選挙結果を覆す法廷闘争を優先しているようだ。科学的知見を軽視する姿勢は変わらず、ゴルフに興じる様子が度々報道された。多くの米国人にとっても理解の範囲を超えているのでないか。

 危機感から米国の医師会や看護師協会が連名で大統領に公開書簡を出した。人工呼吸器の供給状況や収容可能な病床数、ワクチンの配布計画などの最新情報をバイデン氏と共有するよう求めている。

 次期政権が円滑に発足できなければ、ワクチンの普及に遅れが出るなどして死者がさらに増えると指摘される。トランプ氏は医療現場の訴えに耳を傾けるべきだ。

 外交面でも危うさが見える。

 トランプ政権は先ごろ、アフガニスタンとイラクの駐留米軍を半減させると発表した。公約である駐留軍削減を実行する狙いだろうが、アフガン政府と反政府勢力タリバンの停戦協議は停滞しており、強行すれば治安悪化や内戦を招きかねない。

 中国が香港の議会から民主派議員を排除する強硬策に突然打って出たのも、米国の混乱に乗じたからだとの見方もある。

 政権交代を目前にして、現職の大統領がリスク要因になる異常事態をこれ以上続けてはならない。

 バイデン氏は外交や安全保障の閣僚候補を発表した。女性や非白人を重用し、多様性を前面に打ち出す顔ぶれとなった。

 トランプ氏は今も不正選挙を主張するが、証拠を示せず、裁判は棄却が続く。公正に行われた選挙の結果を受け入れるしか道はない。

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