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 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の耐震性を巡り、安全審査基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、住民らが国に対し、原発設置許可の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は許可を取り消す判決を出した。

 東京電力福島第1原発事故を踏まえて策定された新規制基準の下で、設置許可を取り消す判決が出たのは初めてだ。地震による原発事故の懸念に目を向けた画期的な判断といえる。

 関電側は控訴の意向を示している。大飯3、4号機は定期検査で停止中だが、住民側の勝訴が確定すればより厳しい基準で評価し、再び許可を得るまでは稼働できない可能性がある。

 国内の原発の多くは、大飯原発と同様の手法で耐震設計をしているという。再稼働した他の原発も耐震性が十分かどうか、一から見直すべきだ。

 裁判の大きな争点になったのは、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の評価を基に設置を許可した規制委の判断が妥当かどうか、だった。

 原告側は、基準地震動の算出で、過去の地震データの数値に平均値から外れたものなどがある点が考慮されておらず、地震の規模や基準地震動が過小評価されていると主張した。

 それに対し国側は、数値のばらつきを考慮する必要はないと反論したが、判決は基準地震動を算出する地震規模の想定で必要な検討をせず「看過しがたい過誤、欠落がある」と厳しく指摘した。耐震設計の根本が揺らいだといえる。

 大飯3、4号機については2014年、福井地裁が運転差し止めの判決を出して「地震対策に構造的な欠陥がある」と指摘していた。だが17年に規制委は新規制基準に基づく審査で合格を出し、再稼働させた。規制委の安全への姿勢も、改めて問われなければならない。

 福井地裁判決後、当時官房長官だった菅義偉首相は「規制委が世界で最も厳しい安全基準で審査し、その結果を待って(再稼働させる)ということだ」と述べ、意に介さなかった。

 今度こそ司法の判断を重く受け止めてもらいたい。住民を危険にさらす恐れが指摘される原発の再稼働は中止すべきだ。

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