社説

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 この結末に納得できる国民がどれだけいるだろうか。

 安倍晋三前首相はきのう、衆参両院の議院運営委員会で、自身の後援会が「桜を見る会」前日に開いた夕食会の費用を補填(ほてん)していた問題に関し、事実に反する国会答弁を繰り返したことを認め、訂正し謝罪した。

 東京地検特捜部は、夕食会に関する4年分の収支計約3千万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(不記載)の罪で後援会代表の公設第1秘書を略式起訴とした。

 安倍氏が「補填は一切ない」などと国会で否定し続けた事務所の不正を明確に認めた形だ。一方で、安倍氏は嫌疑不十分で不起訴処分とし、捜査を終結する。

 安倍事務所などへの強制捜査もせず、十分な証拠が集まったのか。会費の補填は公選法が禁じる有権者への利益供与に当たらないのか。疑問を残したまま、年内の幕引きを優先したとしか思えない展開だ。

 安倍氏は自らの刑事処分を逃れたとはいえ、政治家として秘書の不正を見逃した監督責任は免れない。

 それ以上に重いのは、時の首相が虚偽答弁で国会を侮り、国民を欺き続けたことへの政治責任である。

 首相や閣僚は、国会で誠実に答弁する憲法上の義務を負う。必要な事実確認を怠り、秘書の報告をうのみにしたのなら議員辞職に値する。

 安倍氏は議運委で「責任を痛感している」としつつも、「私が知らない中で行われていたこと」「責任者に任せていた」と秘書や事務所に責任を押し付ける言い訳に終始した。

 ホテル発行の明細書や領収書の公表は「ホテル側の営業の秘密」などを理由に拒んだ。これでは従来の国会答弁と変わらない。

 首相として致命傷になりかねない問題で追及されているのに、なぜ事務所に徹底的な確認を求めなかったのか。安倍氏の不自然な対応の理由も解明されなかった。

 領収書がないのに収支報告書の詳細な修正が可能だった点や、補填の原資は自身の手持ち資金だったとの説明も釈然としない。表に出ないカネの出し入れが常態化していたとすれば、政治資金の流れを透明にすることで不正を防ぐ規正法を形骸化する行為にほかならない。

 そもそも、公費で各界の功労者をねぎらう「桜を見る会」に、安倍氏が自らの支援者を多数招いていたことが問題の発端だった。

 安倍氏はきのう「信頼回復のため、政治活動の資金の透明性確保を自ら徹底する」と語った。議員にとどまり責任を全うするなら、批判に向き合い、国民が抱く疑問に真摯(しんし)に答える姿勢が何よりも欠かせない。

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