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 戦後最悪とされる日韓関係に新たな難題が持ち上がった。

 旧日本軍の元従軍慰安婦の女性ら12人が損害賠償を求めた訴訟で、韓国のソウル中央地裁が日本政府に賠償金の支払いを命じる判決を出したのである。

 国際法上、国家には他国の裁判権に服さない「主権免除の原則」があるとされる。互いの平等と主権を尊重するためだ。

 しかし地裁はその原則を適用せず、日本政府に責任があると断じた。判決の仮執行を認めており、韓国内の日本政府資産の差し押さえも可能となる。

 日本政府は「断じて受け入れることはできない」(菅義偉首相)と反発する。前例のない司法判断に対し「国際法違反の是正」を強く求める方針だ。

 国際的な議論を呼ぶ可能性もあり、妥当な対応だろう。

 ただ、元慰安婦の救済を巡る議論は、朝鮮半島の植民地統治時代に根ざす歴史的な問題である。過去何度も解決の努力がなされたが暗礁に乗り上げた。

 大きな壁になってきたのが韓国内の反対運動だった。

 「最終的な解決」を確認した2015年の日韓合意も批判にさらされ、合意無効化を掲げた文在寅(ムンジェイン)大統領の就任で事実上、骨抜きにされた経緯がある。

 一方、日本でも政治家が慰安婦動員の強制性を否定する発言を繰り返すなど、水を差す言動が絶えなかった。こじれた責任は双方にあると言える。

 真の解決には粘り強く対話を継続する努力が欠かせない。

 とはいえ今回の判決が確定すれば、原告が日本政府資産の差し押さえに動く可能性がある。そうなれば日本の国民感情を刺激して、合意と和解がいっそう遠のく恐れがある。

 ただでさえ日韓は元徴用工への賠償を巡る問題でも溝を深めている。日本は「1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場だが、関連する他の慰安婦訴訟の判決次第では対立がより先鋭化しかねない。

 事態を好転させるには、韓国政府が被害者の救済に自ら尽力すべきだ。日本政府は韓国と共に解決する姿勢を明確にし、協力や支援の具体策を検討する責任がある。もつれた糸をほぐす努力は、両国の政治家が未来に対して負う共同責任である。

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