社説

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 神戸市が無症状や軽症の新型コロナウイルス感染症患者を対象に、「自宅療養ゼロ」の方針を転換した。一定基準を満たせば自宅療養を認める。医療施設のコロナ専用病床が満杯状態にあるためだ。

 兵庫県内全体でも病床は不足している。自宅待機者は先週後半時点で760人と昨年12月下旬の約12倍に膨らんだ。神戸市では10日間の自宅待機があったという。

 県は「自宅療養ゼロ」の方針を維持しており、井戸敏三知事は実態との乖離(かいり)を認めた上で「(自宅療養ゼロの)看板を下ろしたからといって解決するわけではない」とする。

だが神戸市以外でも自宅療養の容認を検討する動きがある。

 コロナ患者は無症状でも容体が急変することがある。自宅などで亡くなる例も相次いでいる。家族内感染も懸念され、入院や宿泊など隔離療養は大原則だ。それを崩さざるを得ないほど、状況は切迫している。

 看板の上げ下げは横に置き、入院や宿泊と同様に安心して自宅で療養できるよう、各自治体は患者一人一人をきめ細かくフォローできる体制も構築しなければならない。

 神戸市は自宅療養を認めるケースについて、血中酸素濃度などの基準を設けている。濃度が急激に低下する症例が多いため、測定する機器も貸しだす。1日1回、電話や専用アプリを使って保健所が健康状態を確認する。

 市は入院の優先順位を明確にするほか、窮状を市民に訴える狙いもあるという。だが懸念されるのは「無症状なら入院しなくていい」と受け取られかねないことだ。

 自宅療養者には、感染拡大を防ぐために外出を控えるなど、行動を大きく制限してもらわねばならない。その協力を得るためにも、丁寧に説明する必要がある。食料や生活必需品に困らないよう、見守り支援の強化も不可欠だ。

 一方、市は既存のホテルなどを活用して市内に約300室の宿泊療養施設を確保した。しかしその使用率は半分程度にとどまっている。東京都なども状況は似通う。

 病床逼迫(ひっぱく)を解消するために確保したのに、なぜ使用率が低いのか。各自治体はコロナ病床を上積みするとともに、調整作業の目詰まりを解消する対策が急務となる。

 県内に緊急事態宣言が発令されてまもなく2週間となるが、新規感染者数は高止まりの状態が続いている。神戸市はコロナ病床を確保するため、市立病院の一部で手術などの数を減らすことを決めた。

 命を守る医療を崩壊させないために、改めて私たち一人一人が日々の感染対策に取り組みたい。

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